危ない蜜２【歌い手短編小説】

感情の裏表 : そらる○〔たまるあさんリク〕 ページ10

『ん…』






ピピ…ピピピ……








軽快になる目覚まし時計と



まだ肌寒い朝に気だるさを感じて
時間に抗うように潜った布団。



あぁ、もう朝か


と、実感する光。








いつもと同じ憂鬱な朝。




だけど今日は憂鬱さが増した朝な気がした。





なぜか、と自分に問うと、
すぐに答えが分かった。








いつもの風景と




何か一つ違うからだ。









今日は君が





俺の隣で
起きろ起きろとうるさくないから。









否、これから先も、だ。









俺はなんとも言えないような気持ちを

気だるい朝のせいにして






眠気覚ましに顔を洗いに行った。









感情を表に出さないようにするのは

昔から得意だった。








出す必要がなかった、のか








でも









あいつの前では

いつも自分のままでいられたかも、な









俺は準備を済ませると、





もうすぐ居なくなる

君の元へと向かった。

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