危ない蜜２【歌い手短編小説】

オメガバース : 志麻★３ ページ34

真っ暗闇の中


私は先の見えない道を走っていた。



『誰かいないの…？』



怖い、怖いよ

誰か助けてよ





するとふと見えた人影



安心したのも束の間

すごい顔で睨んできた。




【お前、Ωだろ
この世にΩなんて必要ない】



戸惑っていると

また他の人影が現れる



【仕事もろくに出来ないのか
これだからΩは…】




あれはさっき電話して私に怒鳴った…


異変を感じて回りを見渡すと

もう私は人影に囲まれていた。


それでもぞろぞろと
私を閉じ込めるように囲んでくる。




【お前なんかいらない】




【Ωなんて必要としてない】




【消えろ消えろ消えろ】




『いや…やだ……』





居場所なんて無い


学生時代も、ずっと一人だった。





でも…志麻は


志麻だけは、昔と変わらずに
私に優しくしてくれた。



志麻はα。危ないって分かってても


回りの反対を押しきって
ずっと私のそばにいてくれた。




優秀で

仕事も出来て

頭が良くて

毒舌だけどいつも優しい志麻。




唯一の…味方。





・






・









『志麻……』






「…A」








頬を何かが掠めた感触で目が覚めると









そこには夢ではない、




心配そうな表情で、私の頬を撫でる



本物の志麻がいた。

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