危ない蜜２【歌い手短編小説】

感情の裏表 : そらる４○ ページ13

『泣くな…っ
泣き虫…』




「お前だって泣いてんだろ……」







鼻をすすりながら
目を真っ赤にして泣くA。



泣き虫泣き虫って俺にずっと言ってた癖に

実はお前の方が泣き虫なんだろ？





いつも無理して
バカみたいに熱中して。


失敗したら誰よりも責任感じて




誰よりも人の事を考えられる。









俺はずっと









君が好きだ。









「なぁ、A」




『ぐずっ……なに…？』





良いよね、言っても。


最後くらい。ぶちまけても。









「俺さ、ずっと」







『…私』








「……？」







自分の気持ちを伝えようと
腹を括ったのに、Aは俺の言葉を遮る。



心なしかAは辛そうな顔をしていた。







『私、転校するの』





「…何だよ今頃。知ってるよ…」





『しかも遠いの。外国。』





「…うん」






『だから…









そらるを縛りたくないの。』






「…！」







ああ…そうか





Aは分かってたんだ。



俺が君を好きなのも






今、伝えようとしてたのも。





それが分かって…









「っ、俺はそれでも！」





『だめだよ…』




「なん…で」





『だって…5年、5年だよ？
そんな5年も…っ
そらるを待たせられる訳無いじゃない…！』







Aは悲痛な叫びを上げて
その場に崩れ落ちる。



嗚咽を口を押さえる
手の隙間から漏らして泣く姿。





それはどこか子供のように幼く、

大人のように色っぽくて。








俺は思わず
その華奢な身体を抱き締めた。







「…じゃあこうしよう？」





『……？』






「Aが戻ってきて
もし、もしもまだ俺を好きだったら


俺の物になってください。」






『っ…でも…』






「それで、俺を忘れそうになったら

これを見て思い出して」





『……！！』







差し出したのは


小さな箱に入ったリング。




まだ子供だし、高いの買えなかったけど。

　

Aはそれを受け取って目を見開くと

それを泣きながら大切そうに抱き締めた。




『っ…待ってて…くれるの……？』





「当たり前だろ？」





『本当…？』





「あぁ、待ってるよ





だからもう行ってこいよ、置いてかれるぞ」
　





『そらる』




「ん？……っ！？」






いきなり腕を引き寄せられると


当てられたAの唇。







『待っててね、大好きだよ』




「…俺も」









END

女性恐怖症 : 伊東歌詞太郎★※〔みぃさんリク〕→←感情の裏表 : そらる３○

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