名前のない夏.3 ページ26
サーフボードに乗った人が、こちらを見ていた。ボードに寝そべり滑るようにこちらへよってくる。
「よぉ！昨日麦わら帽子飛ばされてたお嬢さんだろ？」
絶対そうだと言わんばかりに水面を浮いている私に声をかけてくれた。
顔にはりつく髪を左右にわけると眩しく光る太陽を背にした褐色の彼がよく見える。
『あ、そうです！その節はお世話になりました。』
「いいってことよ！」
彼はさりげなく私の手を取りサーフボードに寄りかからせてくれた。彼も海に入って向かい合う形になっている。
さり気なさすぎて違和感を感じなかったことに驚いた。
「お嬢さんは家族と来てるのか？」
『そうですね。父と、母と、3人で』
「へえ〜…御両親は？」
『ああ〜…デートに…』
「なるほど、仲いいんだな」
『ラブラブすぎてひいちゃいますね』
他愛もない雑談だけれど、海の中で話すのは初めてで、ちょっとだけ特別な時間に思える。
こういうのも悪くないものだ。
ちゃぷちゃぷと波が肌を撫でていく
「お嬢さん、いくつ？」
『14歳です。中学二年生』
「へー！俺と同い年！」
『本当ですか？意外です！』
「じゃあ別に敬語とかそういう気づかいいらないか…？わりとつらくてさ〜」
『ふふ、いいですよ。見るからに慣れてなさそうですもん』
「それを言われちゃー仕方ねーな！」
『敬語使えてないですし』
「なに？！」
それは気づかなかったとばかりに驚いた顔を見せる彼。思っていたよりも歳が近くて、それ相応の仕草だと思うとなんだか可愛い。
「お嬢さんはずっと敬語だな。やめちゃえよ」
『じゃあお言葉に甘えて』
「それでよし！」
彼はまたにっかりと白い歯を見せて笑った
「親がデート中ってことは暇？」
『暇だね。向こうの浜の方に泳いでいこうかと思ってるところ』
「やめとけやめとけ。あそこは人が多いからや〜なヤツにナンパされるぜ？」
『へ〜そうなんだ』
「そ。そうなの。だから、俺と一緒に遊ばない？」
おじょーさん？そう言ってにんまりとこちらを見る。
『あ、ナンパだ〜』
「ナンパですね〜」
にひひとお互い笑うと、とりあえずサーフボードを置きに行くために岸へ泳いで行った。
私の荷物の近くにざくりとボードを突き立てる。そういえば、名前を教えていないし、教えて貰っていないけれど、まあ知らなくても楽しめそうだ。
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ぴー(プロフ) - ありがとうございます！ (2018年11月6日 22時) (
レス) id: e7c4929f27 (このIDを非表示/違反報告)
透(プロフ) - ぴーさん» 了解しました。どう掲載するか等検討致しますので、しばらくお待ちいただけると幸いです。 (2018年11月6日 20時) (レス) id: 5a32253be5 (このIDを非表示/違反報告)
ぴー(プロフ) - 名前のない夏の綱海sideがみたいです！お願いします！ (2018年11月5日 18時) (レス) id: e7c4929f27 (このIDを非表示/違反報告)
透(プロフ) - 宮さん» 読者の皆様にどう思われているか心配でしたので、そう言って頂けてとても有難いです。これからもよろしくお願いします。 (2018年8月29日 16時) (レス) id: 5a32253be5 (このIDを非表示/違反報告)
宮 - 解説の基山ヒロトの解釈がとっても合っていました。基山ヒロトは基山ヒロトなんですよね…！凄くわかります！他のお話も凄く素敵でした。きらきらと美しくて、まるで夢を見ていたようでした。素敵なお話をありがとうございます！ (2018年8月29日 10時) (レス) id: d974ddd08e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：透 | 作成日時：2018年7月9日 20時
