瑠璃色の瞳.5【終】 ページ18
『はい、緑茶からどうぞ』
透きとおる緑茶が窓から入る光を反射させる。
琥珀糖は鈍く光っているようだ。
二人とも口々に綺麗だと褒めてくれる。
「これ、なんの色？」
佐曽塚くんが琥珀糖を光に透かしながら聞いた。今まで追い求めてきたその色は青いようで、紫のようで、不思議な色なのだ
『これはね、瑠璃色。水神矢くんの、瞳の色』
「え？」
「ああ、確かに」
佐曽塚くんが賛同してくれる。
水神矢くんは気味悪がらずに感心したように琥珀糖を見つめていた。
ひとつ手に取って見つめてみた。
完全にとは言わないけれど、彼の瞳の色がそこにある。
『ごめんね、ひと目見た時から綺麗だと思ってたの』
「そんな、照れるな」
少しだけ頬を染める彼は可愛らしかった。
もう、秋の香りがしてきている。
夏休みが終わりを迎えるんだ。
サクリと瑠璃色に歯を立てて溶けてゆく甘さに身を委ねる。
すっかり食べ終わると、二人とも部活へ向かった。
私も、もうそろそろ片付けて、家へ帰ろう。これからはどうなるのかな。
それから、たまに2人で家庭科室へ来るようになった。＋αでサッカー部の子達を連れてくることもある。
1番驚いたのは水神矢くんが1年生の男の子を連れてきた時だ。
アイシングクッキーで作ったクマゾウを嬉しそうに食べ、いそいそとお土産にして持って帰っていたのを覚えている。
見た目からは想像がつかなかったけれど、可愛い後輩だった。
同級生のマネージャーさんもたまに来た。お兄ちゃんに美味しいものをつくりたいからレシピを教えて欲しいとの事だ。
なかなか仲良くなれた気がする。
それから、琥珀糖は月に一度だけ作っている。まあ、食べたくなった時くらいかな。
作った時は必ず水神矢くんの分を小分けにして包んでおく。毎回毎回ちょっとした趣向を凝らしてその感想を聞くのがとても楽しい。
瑠璃色の瞳が、こちらを楽しそうに見ているのは中学生らしいなと思った。
瑠璃色は、いつまでも記憶に留まっている。
琥珀糖の色もそうだけれど、私が1番好きなのは彼の瞳の色なんだ。
手元には置けない美しさが、大好きだ。
大人になったらもっと綺麗な瑠璃色を生み出せすはず。
私は、自分の未来を信じてる。
『瑠璃色の瞳(水神矢成龍)』
＊fin＊
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ぴー(プロフ) - ありがとうございます！ (2018年11月6日 22時) (
レス) id: e7c4929f27 (このIDを非表示/違反報告)
透(プロフ) - ぴーさん» 了解しました。どう掲載するか等検討致しますので、しばらくお待ちいただけると幸いです。 (2018年11月6日 20時) (レス) id: 5a32253be5 (このIDを非表示/違反報告)
ぴー(プロフ) - 名前のない夏の綱海sideがみたいです！お願いします！ (2018年11月5日 18時) (レス) id: e7c4929f27 (このIDを非表示/違反報告)
透(プロフ) - 宮さん» 読者の皆様にどう思われているか心配でしたので、そう言って頂けてとても有難いです。これからもよろしくお願いします。 (2018年8月29日 16時) (レス) id: 5a32253be5 (このIDを非表示/違反報告)
宮 - 解説の基山ヒロトの解釈がとっても合っていました。基山ヒロトは基山ヒロトなんですよね…！凄くわかります！他のお話も凄く素敵でした。きらきらと美しくて、まるで夢を見ていたようでした。素敵なお話をありがとうございます！ (2018年8月29日 10時) (レス) id: d974ddd08e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：透 | 作成日時：2018年7月9日 20時
