瑠璃色の瞳.4 ページ17
「俺がここに来る前からいたんだな…？」
ぞわりとした。
だって、そんな怖い顔で言われたら誰でもびびるよ。
ギギギ…と首を動かして後ろを見る佐曽塚くんは真っ青だ。片手にはしっかり琥珀糖を掴んでいるけれど。
「ひぇっ…ごめんて…」
『私が引き止めてたんです！すいません…』
「佐曽塚が口止めしてたんだろ？もういいさ」
ふぅ、と一息ついて許してはくれたもののがっしりと佐曽塚くんの首元を掴んでいる。
「もう一つだけ貰ってくな」
と琥珀糖を口元に運んで、佐曽塚くんを引きずって家庭科室を去っていく。
これまでにない嵐のようで、なんだかいつもよりも疲れてしまった。
「あっ、俺も！俺ももうひとつぅぅ〜〜」
と情けない声をあげながら引きずられて行った佐曽塚くんは、またどうせここに現れるのだろう。
お皿の上の琥珀糖は残りひとつになっていた。サクリと歯を立てる。
じゅわりと甘さが口に広がった。
あんなに近くで水神矢くんの瞳を見られたのは嬉しかったな。
それから、たまに水神矢くんも来るようになっていった。
ほんとごくたまに、だけれど。
それだけ彼の瞳を見る回数が多くなっていったぶん琥珀糖の完成は近づいていった。
不思議だけど、綺麗な色合い。着色料を調節するのは大変だった。
ちょうど昨日のことだ。出来がよかったのが。
今日、丁度乾ききるはずだ。
菱形と丸型にしたからきっと綺麗なはず。
乾燥棚からそっととりだそうとしたときだった。
コンコン、といつかを思わせるシチュエーションで窓を叩く音がした。
からりと窓を開けると、そこにはいつも通り佐曽塚くんと、それから水神矢くんがたっていた。
『いらっしゃい、今日はゆっくりしていってもらってもいいかな？』
乾燥棚から取り出した琥珀糖を調理台に置いて、2人の方を見ながら椅子を出そうとする。
「ああ、椅子なら俺たちで出すよ」
水神矢くんが靴を脱ぎながらそう言った。
予め水出しにした緑茶をグラスに注ぐ。
カロンカロンと氷が音を立ててお茶を冷やした。
漆塗りの小さな菓子器に琥珀糖をそっと置いく。
2人はとっくに座ってこちらを見ていた。
友愛に満ちた視線を感じる。
『やっとね、理想の色になったの』
お盆に載せてくるりと振り返った
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ぴー(プロフ) - ありがとうございます！ (2018年11月6日 22時) (
レス) id: e7c4929f27 (このIDを非表示/違反報告)
透(プロフ) - ぴーさん» 了解しました。どう掲載するか等検討致しますので、しばらくお待ちいただけると幸いです。 (2018年11月6日 20時) (レス) id: 5a32253be5 (このIDを非表示/違反報告)
ぴー(プロフ) - 名前のない夏の綱海sideがみたいです！お願いします！ (2018年11月5日 18時) (レス) id: e7c4929f27 (このIDを非表示/違反報告)
透(プロフ) - 宮さん» 読者の皆様にどう思われているか心配でしたので、そう言って頂けてとても有難いです。これからもよろしくお願いします。 (2018年8月29日 16時) (レス) id: 5a32253be5 (このIDを非表示/違反報告)
宮 - 解説の基山ヒロトの解釈がとっても合っていました。基山ヒロトは基山ヒロトなんですよね…！凄くわかります！他のお話も凄く素敵でした。きらきらと美しくて、まるで夢を見ていたようでした。素敵なお話をありがとうございます！ (2018年8月29日 10時) (レス) id: d974ddd08e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：透 | 作成日時：2018年7月9日 20時
