彼等の色見本 (ページ10)

今日:17 hit、昨日:0 hit、合計:1,813 hit

卍白藤色ページ10

《社会人世界線》
ーーーーーー
葵視点

私は今、仕事中なのである！
しかも生放送！噛んだら死ねる！

葵『はーい、では次のお便り。ラジオネーム【脳筋の世話係】さんから頂きました。ありがとうございます。えー…』

…脳筋の世話係って…wネーミングセンスw

葵『【葵さん、こんにちは。いつも楽しくラジオ拝聴させていただいています。私には、幼少期から仲の良い友人がいるのですが、その友人の誕生日が、今月の25日に迫って来ています。明るくてゲームや漫画が好きな友人なのですが、何かいいプレゼントはありますか？】…とのことでね！んー…』

そこからは、いつものように放送をした。

ーーーーーー
帰り際。
電車を待つホームの中で、八月の暑さを実感する。なんだか肌に触れている空気全てが生温い。
ぼんやりと立ち尽くしていたら首元に冷たい何かが当たった。

葵「ぴゃっ」

碧「ふは、何今の声。…おいっす」

すぐそこの自販機で買ってきたのだろう、冷たい缶コーヒーを２つ手にした碧さんの姿。
きっと今首に感じた冷たさはこの缶コーヒーのせい。

葵「なんだ、碧さんか。脅かさないでよ」

碧「んふふ。…というか、珍しいな。帰りが一緒って。まぁ、電車の方向は違うけどな」

葵「そ、それはこっちのセリフですよ。碧さん、会社の最寄りここじゃないでしょ。」

碧「あーいや、今日兄貴が飯奢ってくれるっていうから。今日は兄貴も早上がりだったしな。」

葵「へー。碧さんのお兄さんの会社ってこの辺なんだ。」

碧「あれ？言ってなかった？葵と同じとこなんだけど。文乃秋汰(しゅうた)って、そっちにいねぇ？」

葵「…おるわ。なんなら七橙君の先輩だわ。」

碧「え、そうなん？あ、はい。コーヒー。」

葵「あ、ありがとう。」

まじか…秋汰先輩って碧さんのお兄さんだったんか…というか、もらっといてあれだけど、私コーヒー飲めないんだよねぇ…って、ん？

葵「…これ、コーヒーじゃなくてココアじゃないですか。」

碧「いえーい。ドッキリ大成功ー。…だってお前コーヒー飲めないじゃん。」

葵「…ありがと。甘。…うめぇ」

碧「そーかい。そりゃー良かった。…ところでさ、今月の25日、どうする？」

葵「…え？」

碧「いや、だからさ、斑沙の誕生日！プレゼント決めた？」

葵「あーー…ん？あぁ！」

碧「え、何…？」

葵「ごめん、ちょっとこの話後で」

碧「え？」

私はタイミングよく来た電車に乗り込んだ。