彼等の色見本 (ページ6)

今日:9 hit、昨日:0 hit、合計:1,805 hit

卍東雲色ページ6

《異世界世界線》
ーーーーーーーー
桃李視点

桃「～♪」

この間、良い茶葉を仕入れた。
美味しいチョコレートケーキを買ってきたので、それを食べつつ紅茶を飲み、読書を嗜む。
なんて贅沢で有意義な時間の過ごし方だろう。
そんな時間を楽しむ為にも、さっさと仕事を終わらせなければ。
脚立に登り、本棚を整頓する。

ーーーーーーーー
仕事を終え、少し休憩。
と思っていたのに、幼馴染、ナナトが遊びに来た。どうやら遊んで欲しいらしい。

…ここ、図書館なんですけど？

ーーーーーーーー

ナナトを追い返し、やっと有意義な時間を過ごせる。そう思って読みかけの本を本棚から取り出そうと手に取ったその時。
ドサッと音がして、分厚いアルバムが落ちてきた。

桃「あっぶな…これ、足とかに落ちてきたら痛いだろうなぁ…って、あ。」

そのアルバムを手に取り、意味もなくページをめくっていると、1つの写真が目に入ってきた。

桃「こ、これ…」

冬の日、この村にしては珍しく雪か積もり、私とナナトの2人で遊んだ時の写真。
この写真の私の首元には、月を象ったネックレスが輝いていた。
そういえばこれ、タイムカプセルにして、10年くらい前、2人で埋めたっけ。
そんな記憶を引っ張り出した途端、懐かしさと先ほどの彼への態度の罪悪感が押し寄せて来た。

桃「お父さん！…ちょっと、出掛けてくる！」

さっきはごめんね。
ねぇ、10年ぶりに、2人で土遊びでもしない？

なんて謝罪と誘う練習を心の中でしながら、私は走り出した。