彼等の色見本 (ページ20)

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卍カクタスページ20

《学生世界線》(小学生の頃の話)
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碧視点
カタン、とポストに何かが入れられた音が聞こえた。

丁度文化祭の衣装作りに飽きてきたところだったから丁度いい。
見に行こう。
玄関を開け、ポストの前に立ち、鍵を開ける。
その中には、回覧板が入っていた。
自室に戻り、昼間、葵と話しながら選んだ生地とミシンを机の隅に追いやって、机に回覧板を広げた。
その中の広報に大きく掲げられた、地元では有名な星空の見える広場の写真。
__そこは、私と葵の、思い出の場所だった。

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葵「…で？あそびに行くって、どこに？」

しつこく話しかけていたら、やっとまともに返してくれたあおい。

碧「…え、来てくれるの⁈」

葵「きいただけ。まだ行くとは言ってないよ」

碧「星を見に行きたいの。」

葵「…星」

碧「そう、星！かっこいいじゃん？」

そう聞いてから、しまったと思った。
私は普通じゃないんだった。
ひらひらの洋服に興味が無くて、魔法少女アニメより特撮のヒーローの方が好きで。こんな女の子、みんな変な目で見る。
周りの女の子の将来の夢は、アイドルだったり、ケーキ屋さんだったり。
私は、新聞記者になりたかった。
でも、周りの【普通】は、それを白い目で見た。だから私は、【普通】が嫌い。だから私は、今、【面白い】あおいと遊ぼうとしてる…のに。せっかく遊べそうなのに、自分から遠ざけてしまった。

葵「…」

ほら、俯いて、気まずそう。

葵「…うん。かっこいい。」

碧「え？」

葵「碧ちゃんは、いいね。人とは違う。」

碧「！」

ちがう。何も良くない。

碧「…なにがわかるn」

葵「わかるよ。…確かに、人とは違うことの苦労はあんまり分かんないけど…でも、【ちがう】ことで苦しんでるのはわかる。」

碧「…っ」

葵「…私は、いいと思うよ。かっこいいのが、好きなこと」

____

私は確かに、あの瞬間、あの言葉に救われた。

葵は良く『碧さんがいたから今の私がいる』なんて言うけど。

碧「…それはこっちの台詞なんだよなぁ」

また天体観測、誘ってみようかな。