三十八食目 ページ39
その日の夜。
「やっほー!!Aちゃんっ!!」
「おー来てやったぞー!」
「腹が減った!!」
「鮭大根……」
「冨岡さんさっきからそれしか言ってないじゃないですか」
「ああ、いい匂いだな…」
「今日もおはぎあんのかァ?」
「ここどこだっけ…」
柱たちがゾロゾロと食堂へと入って来た。
「いらっしゃい皆さん!」
そう笑顔で言えば、みんなも少し笑顔になってくれた。
相変わらず個性が渋滞してる、何だかんだで仲良いんだよなあこの人たち。
すると、みんながガヤガヤと騒いでいる後ろから、見慣れた影を見つけた。
「伊黒さん!」
少し気まずそうにその場に立ったままの伊黒さんを見た瞬間、自然と頬が綻んだ。
恥ずかしいのだろうか、視線は明後日の方を向いていて、一向に中へ入ろうとしない彼の手を握って、中へと連れ込んだ。
伊黒さんを座らせてから、すぐに準備を再開する。
柱の人たちはたくさん食べる人たちばかりだから、かなり準備が大変なので、昼から暇があればずっと仕込みをしていた。
おかげであとは煮込み料理を作るだけ。
具材を煮ている間に、酒瓶を机に持って行った。
時透くんと蜜璃ちゃんとしのぶちゃんにはジュースとお茶を持って行く。
「伊黒さんはいつものですよね」
「ああ、」
いつも通りに伊黒さんに声をかければ、柱全員がバッとこちらを向いた。
「え、な、何ですか?」
何故かみんなニヤニヤと頬を緩ませている。
それに戸惑ってオドオドしていたら、何事も無かったかのように話を再開し始めた。
なんなんだ一体…。
悶々と考えながら伊黒さんにお茶を持っていき、料理の仕上げにかかった。
出来上がった料理たちを、何往復かして机へと持っていく途中で、さりげなく伊黒さんが手伝ってくれた。
それが何だかすごく嬉しくて、思わず満面の笑みでありがとうと言えば、
伊黒さんは当然だ、とだけ言ってぷいとそっぽを向いた。
その後も、すぐに空になるお皿たちを流しに運んだり、追加の料理を作ったり、座る暇もないほど大忙しだった。
働くことは好きだから全然苦じゃないんだけどね。
でもその間も、伊黒さんは小言を呟きながらも何だかんだでずっと手伝ってくれていた。
そんな私たちの姿を、柱たちが終始チラチラて何かを楽しそうに話し合っていることなんて、気付かなかった。
734人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ニンニク - emiさん» このシリーズ好きなんですよ! (2020年4月30日 19時) (レス) id: c0f99f9f3e (このIDを非表示/違反報告)
emi(プロフ) - ニンニクさん» 鼻からケチャップw お気を確かに!!笑笑 ありがとうございます!! (2020年4月25日 8時) (レス) id: 99f895e5d1 (このIDを非表示/違反報告)
ニンニク - emiさん» 楽しみに待ってます♪伊黒さんかっこよすぎて鼻からケチャップが・・・ (2020年4月24日 22時) (レス) id: c0f99f9f3e (このIDを非表示/違反報告)
emi(プロフ) - ニンニクさん» 本当ですか!嬉しいです!そんなことを言っていただけて光栄です!伊黒さん素敵ですよね!頑張ります!!コメントありがとうございます!! (2020年4月22日 10時) (レス) id: 99f895e5d1 (このIDを非表示/違反報告)
ニンニク - このシリーズめっちゃ好きなんです!伊黒さんおしなので、更新されてるとすごい嬉しくなります!これからも頑張ってください! (2020年4月21日 23時) (レス) id: c0f99f9f3e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:emi | 作成日時:2020年3月10日 22時