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三十五食目 ページ36

蛇柱邸の門を潜った。


以前たった一度お邪魔しただけだったので、何故か緊張する。



しかも、これから伊黒さんと顔を合わせるとなると更に胸が跳ねた。




汗の滲んだ手をギュッと握りしめて深呼吸をし、



「……蛇柱様、お届け物です」


隠の口調を真似て、控えめにそう呼んだ。




すると、中から物音がして、玄関の戸が開けられた。




「ああ、ご苦労だっ、たな………」


「こんにちは」




伊黒さんは、私の顔を見て固まった。


さすがにここに来るとは予測していなかったらしい。




慌てて我に返った伊黒さんは、じっと私の目を見つめ、







「……折角来たんだ、入れ」






今回は逃げることなく、私を屋敷の中に招き入れてくれた。


少しドギマギしながら茶の間へ入ると、伊黒さんはお茶を持ってきてくれた。




いつものおにぎりを手渡すと、ちょっとだけ嬉しそうにそれを受け取る伊黒さん。



その顔を見て熱くなった顔を振って、深呼吸をして

もう一度彼に向き直る。



伊黒さんの綺麗な瞳が、私の目を捕らえた。






それを見てから、ゆっくり喋り始めた。








「…私、もう何年も前からいろんな人たちにご飯を作ってきました。」



「…ああ、」



「誰かに美味しいって言われることがすごく嬉しくて、それだけを生き甲斐に頑張って来た。」


「………」



「本当に、私にはそれしか無かった。


だから、毎日誰かが居なくなるのが怖くて、

顔に出さないように無理矢理作った笑顔を貼り付けて、




でも、でもね伊黒さん






貴方の前では、何故か心の底から笑えたんです。」




「…!」




「…だから、



貴方とならずっとずっと笑っていたいって思えた。」



「………」






「伊黒さん、私はあなたの事が…」




「A」




「っ!」






「それから先は俺に言わせろ、」






私の名前をしっかりと呼んだ伊黒さんは、優しく私の手を握り、







「A、お前のことが好きだ。





俺のことをしっかり見つめてくれる、お前が好きだ。




俺とずっと、死ぬまで、




傍に居てくれないか?」







そう言った。

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ニンニク - emiさん» このシリーズ好きなんですよ! (2020年4月30日 19時) (レス) id: c0f99f9f3e (このIDを非表示/違反報告)
emi(プロフ) - ニンニクさん» 鼻からケチャップw お気を確かに!!笑笑 ありがとうございます!! (2020年4月25日 8時) (レス) id: 99f895e5d1 (このIDを非表示/違反報告)
ニンニク - emiさん» 楽しみに待ってます♪伊黒さんかっこよすぎて鼻からケチャップが・・・ (2020年4月24日 22時) (レス) id: c0f99f9f3e (このIDを非表示/違反報告)
emi(プロフ) - ニンニクさん» 本当ですか!嬉しいです!そんなことを言っていただけて光栄です!伊黒さん素敵ですよね!頑張ります!!コメントありがとうございます!! (2020年4月22日 10時) (レス) id: 99f895e5d1 (このIDを非表示/違反報告)
ニンニク - このシリーズめっちゃ好きなんです!伊黒さんおしなので、更新されてるとすごい嬉しくなります!これからも頑張ってください! (2020年4月21日 23時) (レス) id: c0f99f9f3e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:emi | 作成日時:2020年3月10日 22時

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