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三十二食目 ページ33

その日から、私と伊黒さんの鬼ごっこが幕を開けた。


いつもの様に、伊黒さんは食堂に来てくれるのだけれど、



「………」

「あの、伊黒さん?」




ずっと蜜璃ちゃんの影に隠れているのだ。



くるりと回り込んでみても、顔を真っ赤にさせてなかなか目を合わせてくれない。



「お話があるんですけど」



そう言えば、更に顔を赤くさせてピューッと何処かへ行ってしまう。



…正直私も気が気じゃない。





なんてったって、好きだと言われたのだ。



あの伊黒さんに。






『好きだ。』






駄目だ、思い出せば思い出すほど顔が熱くなってくる。



こんなんじゃ仕事が手につかないよ。





「Aちゃん今日″すき″焼き…」


「わあああっ!!」


「どうしたの?!」


「あ、いや、何でもないですゴメンナサイ…」





この通り、全く仕事にならないのだ。


早く返事しなきゃ、このままじゃ心臓がもたない…。






なのに、悩みの種というのは次から次に増えていくようで。



「たのもう!」


「あ、いらっしゃい杏寿郎」



いつもの様に杏寿郎を迎え入れた時、


何故かいつも以上に彼は真剣な顔をしていて





「A、話がある」


「は、はい…」




何だろうと唾を飲み込んで、彼の目を見つめると、




杏寿郎は、ゆっくりと私の手を握ってこう言った。






「君のことが好きだ!


俺と共に人生を歩んでくれないだろうか!」






芯の通った大きな声は、食堂を一瞬で静かにさせた。




その静寂を破ったのは、ガタンッという机の揺れる音。





見るとそこには慌てた様子の伊黒さんが立っていた。








…待ってくれ、もう既に私の理解力が追い付いてないんだが。





ああ、早く返事をしなきゃ。






私は、何度か口をパクパクさせた後に、声を振り絞った。

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ニンニク - emiさん» このシリーズ好きなんですよ! (2020年4月30日 19時) (レス) id: c0f99f9f3e (このIDを非表示/違反報告)
emi(プロフ) - ニンニクさん» 鼻からケチャップw お気を確かに!!笑笑 ありがとうございます!! (2020年4月25日 8時) (レス) id: 99f895e5d1 (このIDを非表示/違反報告)
ニンニク - emiさん» 楽しみに待ってます♪伊黒さんかっこよすぎて鼻からケチャップが・・・ (2020年4月24日 22時) (レス) id: c0f99f9f3e (このIDを非表示/違反報告)
emi(プロフ) - ニンニクさん» 本当ですか!嬉しいです!そんなことを言っていただけて光栄です!伊黒さん素敵ですよね!頑張ります!!コメントありがとうございます!! (2020年4月22日 10時) (レス) id: 99f895e5d1 (このIDを非表示/違反報告)
ニンニク - このシリーズめっちゃ好きなんです!伊黒さんおしなので、更新されてるとすごい嬉しくなります!これからも頑張ってください! (2020年4月21日 23時) (レス) id: c0f99f9f3e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:emi | 作成日時:2020年3月10日 22時

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