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二十八食目 ページ29

伊黒 side.


「…あとは頼む」


「かしこまりました」



鞘を納めて傍に寄ってきた隠に後始末を頼み、その場を離れる。




もう、夜も明けようとしていた。





「………」




腹が、空いたな。



腹を摩りながら、懐に手を入れる。





いつもあるはずのソレは、今日はそこには無くて、



虚しく俺の指先は空気を引っ掻いた。






あれだけ酷いことを言ったのに、まだあの握り飯を求めるなんて、






「嫌な男だな、俺は」



そう呟いて、屋敷へと戻る足を進めた。






屋敷に戻ったのは、日が昇り始めた頃だった。






茶の間へ入り、いつもの様に一休みしようと体を伸ばすと、横目に見慣れない物が映った。





「っ!」





そこにあったのは、いつもの水戸村の握り飯。




と、何かが書かれた置き手紙だった。









『いつまでも 待ってます』









アイツらしい綺麗な文字で書かれたソレを見た瞬間、俺は屋敷を飛び出していた。






「はあっ……!水戸村……ッ」







走れ、


アイツの元へ、少しでも早く着けるように






息が切れるまで全力で走った。





こんなにも全力で走ったのは、いつぶりだろうか。








気が付けば、食堂の前に来ていた。







そこで、初めて踏みとどまった。




もう、俺は水戸村に会う資格なんて無いのではないか。



あんなことを言った



アイツが作った握り飯でさえ、無駄にした








アイツを、傷付けた。









でも、アイツは






そんな俺のことを待ってくれたんだ。






「……もう、決まってるだろ」







そう自分に喝を入れて、引戸に手を掛けた。





足を踏み入れたそこには、








アイツが一人で待っていた。

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ニンニク - emiさん» このシリーズ好きなんですよ! (2020年4月30日 19時) (レス) id: c0f99f9f3e (このIDを非表示/違反報告)
emi(プロフ) - ニンニクさん» 鼻からケチャップw お気を確かに!!笑笑 ありがとうございます!! (2020年4月25日 8時) (レス) id: 99f895e5d1 (このIDを非表示/違反報告)
ニンニク - emiさん» 楽しみに待ってます♪伊黒さんかっこよすぎて鼻からケチャップが・・・ (2020年4月24日 22時) (レス) id: c0f99f9f3e (このIDを非表示/違反報告)
emi(プロフ) - ニンニクさん» 本当ですか!嬉しいです!そんなことを言っていただけて光栄です!伊黒さん素敵ですよね!頑張ります!!コメントありがとうございます!! (2020年4月22日 10時) (レス) id: 99f895e5d1 (このIDを非表示/違反報告)
ニンニク - このシリーズめっちゃ好きなんです!伊黒さんおしなので、更新されてるとすごい嬉しくなります!これからも頑張ってください! (2020年4月21日 23時) (レス) id: c0f99f9f3e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:emi | 作成日時:2020年3月10日 22時

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