【鬼滅の刃】蛇柱の胃袋を掌握しようと思う 【伊黒小芭内】

十四食目 ページ15

幸せは、いつだって簡単に崩れる。




「いらっしゃい！」



「よ！また来ちゃったよ」



「Aちゃん、いつものよろしく！」



「了解ー！」




そんないつも通りの会話をした次の日には、その人は消えていたりする。



それが苦しくて、辛かった。




でも、皆にご飯を作っている時だけはその現実から目を背けられた。



皆の笑顔が見れる。


他愛もない会話ができる。




それを求めて、もっと美味しい料理を作ろうと頑張った。


いつが″最後″になるか分からないから、いつでも美味しい料理を出そうと頑張った。


食堂に来てくれる人の顔を一人一人思い浮かべて、思いを込めて料理を作った。






少しでも、皆が幸せでいられるように。






なのに、そんな幸せなんて一瞬で吹き消されてしまう。





「………」






死んでしまった誰かの木札を取り外すのも、


それを燃やすのも、


その灰に向かって手を合わせることも。






もう何度も繰り返して、慣れてしまった。




何度も繰り返すうちに気付いた。





きっと私がどう頑張って美味しい料理を作ろうと、




笑顔を作って無理やり笑おうと、





死ぬ人が減るわけないと。




どうせ死ぬのなら、最後の晩餐だけでもいいものを作ってやろうか、なんて。






「最低だ、私」





最低な自分が怖くなって、




一人で泣いていた。








そんな時に現れたのが、








あのいつも不機嫌な蛇柱さんだった。

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