第8話 ページ8
*
「恋愛相談なら任せろ」と無理矢理五条さんに相談することになり、不本意ながら彼女に対する想いを事細かに説明した。
最初楽しそうに聞いていた五条さんの顔は、だんだんと真顔になっていく。
そして挙句の果てに言われたのは、
「七海って意外と重いのな」である。
「………帰っていいですか?」
「あああ嘘嘘嘘!!あの七海が普通の恋愛してんのが意外だったの!!」
「はあ、」
どうやら私は傍から見て冷淡な人間に見えるらしく、ただただ彼女に向ける愛が大きかったのが意外だったしい。全く無礼極まりない人だ。
「で、七海の悩みは″これからどうカノジョに接すればいいか分からない″ってこと?」
「ざっくりと言えばそうですね。」
「そんなの簡単じゃん!キスしてハグして好き好きーーってすれば一発じゃね?」
「それができないから悩んでいるんでしょう」
「えーーー女々しいヤツだなあ」
「帰りますよ」
「よしよし分かった、とりあえず僕の有難いお話を最後まで聞け」
話を聞かないのは貴方でしょうと言いかけたが、この人に悩んでいる素振りを見せた自分も十分悪いので、何度上げかけたか分からない腰を諦めて下ろす。
「じゃあさ、素でイチャイチャできないなら酒に酔ったフリでもしてワンチャン狙うとかは?」
「……何ですか、ワンチャンって」
「さあ?それはご想像にお任せしますよ?」
ニヤニヤと笑っている時点で五条さんが何を考えているのかこちらには筒抜けである。
「私が酒に強いことを彼女は知っていると思うのですが…」
「そんなのやってみないとわかんねえじゃん!な?試して損は無いって!」
「私の良心はどうなるんです?」
「成功に犠牲は付き物だろ?」
「物は言い様ですね。」
Aさんを騙すことに罪悪感はあるが、この状況を少しでも打破するために渋々だがその作戦を実行することになった。
先日我が家となった部屋の玄関を開けると、パタパタと可愛らしい足音が聞こえ、「おかえりなさい!」と嬉しそうな声がした。
その時点で私の心臓は既に軽く締め付けられてしまう。
……抱き締めたい。
けれど、五条さんがそれを許すはずもなく、Aさんを騙すために体調の悪いフリを続けなければならなかった。
段差に腰掛け眠ったフリをしていると、コップを持って来たらしいAさんが戻って来る。
そんな彼女に、五条さんは言い放ったのだ。
「七海のことどう思ってんの?」
そんな予想外の言葉を。
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森 - ↓なな…なんと… (2022年2月24日 23時) (レス) id: d826e852a9 (このIDを非表示/違反報告)
emi(プロフ) - 森さん» 森様、てぇてぇ頂きました!笑 お察しの通り最後のシーンはハロウィンの直前でございます…これからの二人のことはご想像にお任せ致します… (2022年2月21日 12時) (レス) id: 9ba5ed02ee (このIDを非表示/違反報告)
森 - てぇてぇな〜‼ ところで、これは2018年でしょうか?(ハロウィンもあっちゃったりしちゃいます?) (2022年2月19日 1時) (レス) @page3 id: d826e852a9 (このIDを非表示/違反報告)
たろ。(プロフ) - emiさん» ひぇ、、なんと……(震」 (2022年1月27日 18時) (レス) id: ba071d904f (このIDを非表示/違反報告)
emi(プロフ) - たろ。さん» たろ。様、コメントありがとうございます!何だかんだ五条先生は後輩思いだよなという私の解釈を盛り込ませていただきました笑 実はこのお話の後、あのハロウィンが来てしまうのです……(トラウマ) (2022年1月27日 17時) (レス) id: 9ba5ed02ee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:emi | 作成日時:2021年3月3日 6時