第7話 ページ7
*
「別に試してるわけじゃないよ?
けど、遅くまで飲んでる恋人のこと、不安にならない?」
「…不安、ですか?」
「そうそう、もしかしたら浮気してるかも〜とかさ!
君のメール見たけど、その辺り野放しにしてるみたいだったから、七海のことどう思ってんのかなあって。」
おどけた口調とは裏腹に、その人は淡々と私に対して疑問をぶつけてくる。
チラリと横目に見た七海さんは、いつの間にか座り込んだままうとうとと眠ってしまっているようだった。
そんな彼の今まで見たことがなかった姿に、また無意識に頬が緩んでしまう。
その顔のまま、私は再度目の前の人物に視線を向けた。
「不安、なんてありません。」
「七海さんは、こんな私の事を5年間も傍に置いてくれました、
この5年間で、私気付いたんです。」
「七海さんが、私の想像もつかないほど、私の事を愛してくれてるって。」
自分で言うのもおかしな話なんですけどね、と自分が言ったことに恥ずかしくなり、慌てて付け足す。
そして、幾分か人間らしい、穏やかな表情に変わった目の前のその人にきっぱりと言った。
「だから、そんな七海さんに不安なんて覚えたことありませんし、私も負けないくらい七海さんへの愛は大きいと思ってるので心配は無用です!」
一息にそう言い切ると、その人は特に私の発言に何か文句を付けるわけでもなく、ただただニコニコと笑っていて
「そっか、七海のカノジョが君で良かったよ」
初めて第三者に私たちの愛を認められたものだから、たとえ初対面のその人の言葉でもどうしようもないくらい嬉しくなってしまった。
その後、夜も遅いので、七海さんを連れて来たその人にお礼を言い、玄関の外まで見送った。
見送りを終え、玄関へと戻れば、段差に腰掛けてすやすやと眠る七海さん。
滅多に見れない寝顔を拝んでおこうかと思ったけれど、さすがに風邪を引かせるわけにはいかないので七海さんを起こすために優しく肩を叩いた。
と、それと同時にふと頭に違和感が残る。
…七海さんって、そんなに簡単にお酒に酔う人だったっけ?
そこまで考えが行き着いた時にはもう手遅れで。
はっと七海さんの顔に向けた途端ぶつかった視線。
それは、獲物を捕らえようとする獣の眼のようで。
その瞳に睨まれた私は、驚いて動けなくなってしまう。
そして、次に瞬きをした時、
「…私の本当の愛がどれほどのものか、試してみますか?」
私は彼の腕の中に居た。
1418人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「呪術廻戦」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
森 - ↓なな…なんと… (2022年2月24日 23時) (レス) id: d826e852a9 (このIDを非表示/違反報告)
emi(プロフ) - 森さん» 森様、てぇてぇ頂きました!笑 お察しの通り最後のシーンはハロウィンの直前でございます…これからの二人のことはご想像にお任せ致します… (2022年2月21日 12時) (レス) id: 9ba5ed02ee (このIDを非表示/違反報告)
森 - てぇてぇな〜‼ ところで、これは2018年でしょうか?(ハロウィンもあっちゃったりしちゃいます?) (2022年2月19日 1時) (レス) @page3 id: d826e852a9 (このIDを非表示/違反報告)
たろ。(プロフ) - emiさん» ひぇ、、なんと……(震」 (2022年1月27日 18時) (レス) id: ba071d904f (このIDを非表示/違反報告)
emi(プロフ) - たろ。さん» たろ。様、コメントありがとうございます!何だかんだ五条先生は後輩思いだよなという私の解釈を盛り込ませていただきました笑 実はこのお話の後、あのハロウィンが来てしまうのです……(トラウマ) (2022年1月27日 17時) (レス) id: 9ba5ed02ee (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:emi | 作成日時:2021年3月3日 6時