第6話 ページ6
*
《すみません、先輩との晩酌が長引きそうで少し遅くなります。》
先日から七海さんと同棲を始めたあの部屋で、夕飯を作りながら彼の帰りを待っていると、そんなメールが送られて来た。
七海さんのうんざりした顔が目に見えるその文面を見て思わず口元が緩む。
《了解しました、楽しんで来てください!》
何だか夫婦のようなやり取りに幸せな気分になった。
ちょうど作り終わった料理たちを作り置き用の容器に入れ、冷蔵庫へとしまう。
自分の分だけ食器に取り分けて、見たかった映画を見ながら夕食を食べることにした。
ゆっくりと夕食をとっていると、だいぶ時間が経っていたらしく、ふと見上げた時計の針は10時を指そうとしていた。
酔って気分が悪くなってはいないだろうか、と少し心配になる。
七海さんに限ってお店で寝ているなんてことは無いと思うけれど、念の為電話してみようかと携帯に手を伸ばした。
と、その時。
がチャリと玄関の扉を開ける音が聞こえた。
七海さんが帰ってきたと思い、急いで玄関へと走る。
「七海さん!お帰り、なさい………」
しかしそこに立っていたのは、
「あ、君が七海のカノジョ?」
全身黒ずくめの、背の高い男の人だった。
真っ白な髪の毛が、重力に逆らってふわりと立っている。
「どなた、ですか…」
恐る恐るその人に聞いてみると、怪しい人じゃないよ!と手をヒラヒラとさせた。
いや、どこからどう見ても怪しい人なんですが。
「ぅ……」
けれど、突然その人の後ろから、今一番聞きたかった声が聞こえた途端、そんな恐怖は一気に吹き飛んだ。
「七海さん!」
慌てて近付いてみると、そこにはあまり顔色の優れない七海さんがドアに寄りかかって立っていた。
「七海かなり飲んじゃってさ〜具合悪そうだったから付いてきてあげたの」
あ、ちなみに僕七海の先輩ね!と軽やかに笑うその人は、どうやら七海さんと一緒に飲んでいた人らしかった。
「そうだったんですか!わざわざすみません…!」
その人に頭を下げながら、七海さんに水の入ったコップを手渡そうとした。
しかし、突然その人に腕を掴まれる。
ぐっと顔を近づけられ、思わず後退りしてしまう。
「何、ですか…?」
「ん〜?いや、君さあ
七海のことどう思ってんの?」
「………はい?」
その人の口から出た突然の問いに、私が咄嗟に出せたのはその二文字だけだった。
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森 - ↓なな…なんと… (2022年2月24日 23時) (レス) id: d826e852a9 (このIDを非表示/違反報告)
emi(プロフ) - 森さん» 森様、てぇてぇ頂きました!笑 お察しの通り最後のシーンはハロウィンの直前でございます…これからの二人のことはご想像にお任せ致します… (2022年2月21日 12時) (レス) id: 9ba5ed02ee (このIDを非表示/違反報告)
森 - てぇてぇな〜‼ ところで、これは2018年でしょうか?(ハロウィンもあっちゃったりしちゃいます?) (2022年2月19日 1時) (レス) @page3 id: d826e852a9 (このIDを非表示/違反報告)
たろ。(プロフ) - emiさん» ひぇ、、なんと……(震」 (2022年1月27日 18時) (レス) id: ba071d904f (このIDを非表示/違反報告)
emi(プロフ) - たろ。さん» たろ。様、コメントありがとうございます!何だかんだ五条先生は後輩思いだよなという私の解釈を盛り込ませていただきました笑 実はこのお話の後、あのハロウィンが来てしまうのです……(トラウマ) (2022年1月27日 17時) (レス) id: 9ba5ed02ee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:emi | 作成日時:2021年3月3日 6時