第18話 ページ18
*
自由になった足。
体を包み込む優しい温もり。
大好きな、大好きな彼の匂い。
「ななみ、さ」
「早く帰れと言ったはずですが、何故まだここに？」
「ごめん、なさい」
七海さんに抱えられた安心感に、思わず涙がボロボロと零れ落ちる。大粒の涙が、七海さんのスーツへと染みを作っていく。
どうしようもない安心感と、先程まで抱えていた罪悪感が相まって涙が止まらない。
ふと七海さんの歯がギリ、と軋む音がする。
心做しか感じる殺気に思わずびくりと肩を揺らした。
どうやらその殺気を向けられているのは私ではなく、私を襲った″何か″に向けられているようで。
先程の叱るような口調とは裏腹に、私の頭をひどく優しく撫でる彼。
しかし、″何か″を睨み付ける彼の瞳は怒りで歪んでいた。
突然、その″何か″が地を蹴り、私達に向かって突進して来た。
恐怖のあまり、固く目を閉じる。
七海さんの、私を抱き締める手に力が籠ったのが分かった。
少しの衝撃。
顔にかかる液体。
鼻に流れ込む、薄らとした鉄の匂い。
はっ、と我に返り上を見上げる。
そこに見えたのは、私を守る、血だらけの腕。
止めどなく血液の流れるそこには、あの″何か″が歯を突き立てていた。
「七海さん…！！」
悲鳴に近い声で名前を呼んだ私に、彼は安心させるように微笑んで、そして
「少し、目を瞑っていただけますか。」
と、耳元で囁くように私に言い聞かせた。
その言葉に促されるままに、再び目を閉じる。
離れていく温もりに、彼のスーツを掴もうとしたその指はただ宙を掻く。
その後に聞こえてきた凄まじい音に、思わず耳を塞いだ。
肉と金属のぶつかり合う音に、命を宿したものとは思えない唸り声だけがその場に響いた。
次に目を開いたのは、そのあまりにも異様な音が静かになった時だった。
恐る恐る開いた瞳に映ったのは、腕に負った傷以外、汚れ一つと無い七海さんの姿。
靴裏を硬い床に響かせながらこちらに歩いて来る七海さんの表情は、
「帰りましょう、Aさん。」
どこか、苦しげだった。
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森 - ↓なな…なんと… (2022年2月24日 23時) (
レス) id: d826e852a9 (このIDを非表示/違反報告)
emi(プロフ) - 森さん» 森様、てぇてぇ頂きました！笑 お察しの通り最後のシーンはハロウィンの直前でございます…これからの二人のことはご想像にお任せ致します… (2022年2月21日 12時) (レス) id: 9ba5ed02ee (このIDを非表示/違反報告)
森 - てぇてぇな〜‼ ところで、これは2018年でしょうか？(ハロウィンもあっちゃったりしちゃいます？) (2022年2月19日 1時) (レス) @page3 id: d826e852a9 (このIDを非表示/違反報告)
たろ。(プロフ) - emiさん» ひぇ、、なんと……（震」 (2022年1月27日 18時) (レス) id: ba071d904f (このIDを非表示/違反報告)
emi(プロフ) - たろ。さん» たろ。様、コメントありがとうございます！何だかんだ五条先生は後輩思いだよなという私の解釈を盛り込ませていただきました笑 実はこのお話の後、あのハロウィンが来てしまうのです……(ﾄﾗｳﾏ) (2022年1月27日 17時) (レス) id: 9ba5ed02ee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：emi | 作成日時：2021年3月3日 6時
