第23話 ページ23
*
『君を守り、愛することがアイツにとっての生きる糧なんだ。』
家入さんの諭すような言葉が、頭に響く。
……私は。
私は彼のために、何ができるだろうか。
涙に濡れた目をこじ開けて、目の前の彼を見つめる。
その瞳は相変わらず優しい色をしていた。
七海さんの頬にそっと手を添えれば、彼はその感触を味わうように目を伏せ、彼自身の手を私のそれに添えた。
…私は、彼のように呪霊を祓うことなんてできない。
彼のように頭がいい訳でもないし、強い訳でもない。
そんな私が、彼のためにできることなんて。
「…七海さん、」
「どうされました……っ…!」
ちゅ、と小さな音が二人の間に響く。
腰を浮かせた私の膝元から、手当に使った包帯がコロコロと転がって行く。
…そうだ、私にできるのは、こうやって彼を愛することしかないのだから。
それを形にできないまま、
七海さんに想いを伝えられないままだなんて、そんなの絶対に嫌だ。
後悔なんて、したくない。
だから、
「七海さん。
…私の愛を、受け止めてくれますか?」
抱えきれない程のこの愛を、受け取って欲しい。
「…もちろん、覚悟はできています。」
そう言ってふわりと微笑んだ彼があまりにも愛おしくて、綺麗で。
思わず私はそんな彼の、広い筋肉質の背に手を回して抱き締めた。
少しだけ驚いていた七海さんの腕も、すぐに私の背に回る。
大きな手がぐっと私の体ごと抱き寄せた。
何も考えられずに、ただただ縋るように七海さんを抱き締め続ける。
彼も負けずに私を抱き締めた。
「大好きです、七海さん。」
「それは私の台詞ですよ。」
「…愛しています、Aさん。」
そしてまた、愛を込めた口付けを落とした。
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森 - ↓なな…なんと… (2022年2月24日 23時) (レス) id: d826e852a9 (このIDを非表示/違反報告)
emi(プロフ) - 森さん» 森様、てぇてぇ頂きました!笑 お察しの通り最後のシーンはハロウィンの直前でございます…これからの二人のことはご想像にお任せ致します… (2022年2月21日 12時) (レス) id: 9ba5ed02ee (このIDを非表示/違反報告)
森 - てぇてぇな〜‼ ところで、これは2018年でしょうか?(ハロウィンもあっちゃったりしちゃいます?) (2022年2月19日 1時) (レス) @page3 id: d826e852a9 (このIDを非表示/違反報告)
たろ。(プロフ) - emiさん» ひぇ、、なんと……(震」 (2022年1月27日 18時) (レス) id: ba071d904f (このIDを非表示/違反報告)
emi(プロフ) - たろ。さん» たろ。様、コメントありがとうございます!何だかんだ五条先生は後輩思いだよなという私の解釈を盛り込ませていただきました笑 実はこのお話の後、あのハロウィンが来てしまうのです……(トラウマ) (2022年1月27日 17時) (レス) id: 9ba5ed02ee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:emi | 作成日時:2021年3月3日 6時