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「美味かった!浅草にあんなにいい店があったとはな!」
そうやって膨れたお腹を満面の笑みで擦る煉獄さん。
すごく嬉しかった。
「美味しかったですね!」
そう言って私も笑顔を浮かべた。
煉獄さんの食べっぷりはそれはもう見事で、彼はざる蕎麦を瞬く間に十杯食べていた。
うまい!うまい!と蕎麦を啜る煉獄さん。
いつも年に似合わぬ立派な態度だったから、こんな子供らしい一面もあるのか、と可笑しくなった。
「煉獄さん、ネギが」
「…む!お恥ずかしい!穴があったら入りたい!」
ネギを口元に付けたまま蕎麦を頬張る彼が、可愛らしかった。
店を出た私たちは、お互いのことを話しながら街を歩く。
そこで初めて、私たちが同い歳であることを知った。
本当に何も知らなかったんだな、私たちは。
と、しみじみと感じた。
お互いのことをほとんど知らなくても、こんなに仲良くなれるものなのね、と感心もした。
何も知らなくても、そんなことが気にならないほど、彼と居る時間は心地良かった。
すごいなぁと呑気に見上げた彼の顔が、
私の方を見て微笑んでいた。
その笑みに、私は胸が痛くなった。
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emi
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emi(プロフ) - 柚葉さん» コメントありがとうございます!感動させられるようなお話を作るのが目標だったのでとても嬉しいです!これからも精進させていただきます! (2021年1月30日 19時) (レス) id: 9ba5ed02ee (このIDを非表示/違反報告)
柚葉 - 涙が出て止まりませんでした。 (2021年1月30日 9時) (レス) id: 33c3d87eb8 (このIDを非表示/違反報告)
emi(プロフ) - あさこさん» ありがとうございます…!あさこ様を感動させることが出来て本当に嬉しいです!きっと幸せに暮らしていますよ!コメントありがとうございます! (2020年11月8日 23時) (レス) id: 86023f8af9 (このIDを非表示/違反報告)
あさこ(プロフ) - とても美しい物語で一気に読んでしまいました!途中から涙が止まりませんでした、来世で2人が幸せになってくれることを心から祈ります(´;ω;`) (2020年11月8日 22時) (レス) id: 81f776d056 (このIDを非表示/違反報告)
emi(プロフ) - ゆきえもんさん» 読んでいただきありがとうございます!!読み直して気が付きました…記憶が曖昧なまま書いてしまってました……ご指摘本当にありがとうございます!! (2020年11月8日 6時) (レス) id: 86023f8af9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:emi | 作成日時:2020年4月23日 21時