私が入った吹奏楽部は平均身長が高い

朝練 ページ18

「あ、部長。」


声をかけてきたのは、部長の先輩。


「部長なんてそんな堅苦しくなくていいよ。皆大地さんって呼んでるし、そう呼んでくれればいいから。」


「はい。」


ここの吹奏楽部は割とフランクらしい。


「そこチューバも一緒なんだよな。どんな感じの意識？」


「え…。」


アドバイスを求められているのか？


は、ちょ、まて。


「ああ！そこ苦手でさ、いつも音を外しかけるんだよね。」


大地さんの焦った様子に、慌てて弁解する。


「いえ、その、中学ではこんなこと無かったので、驚いただけです」


続けて


「えっと、そこは、高音を出すってのを意識して息入れてます。」


大地さんは、なるほど…そーか。と納得した様子で自分の練習場所に戻って行きました。


…なんか、いいなぁ、ここ。


「朝練終わりにしろ〜。今日は入学式だったな。新入生は頑張ってこいよー。」


ああ、朝練って意外に短いのか。


私は楽器を片付けて体育館に向かおうと足を進めた。


仁花ちゃんと一緒に行こうかとも思ったが、彼女の家は少し遠く、シングルマザーらしい。


私の家は比較的平和だけど、そういう家って多いよね、今時。


しゃーない、1人で行こう、と一歩を踏み出すと。


「早川さん！！」


…誰だ。←視力1、0

本気→←トロンボーン

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