お願いだ『愛してる』と言ってくれ【爆豪勝己】 (ページ1)

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一言で言うと一目惚れだったのかもしれない。
俺が初めて見たアイツは、ヴィランに襲われてた癖に震える身体を必死に隠し、子供を助けていたところだった。

「大丈夫。すぐにヒーローが来てくれる。だから泣かないで？ ……ね？」

物陰に隠れて、必死に。
そんな彼女に視線が釘付けで、正直俺らしくもねぇと思った。

「助けてくれてありがとうございます。ヒーロー爆心地さんですよね？この御恩は必ず返します」

ヒーローが困っている市民を助けるなんて当たり前だ。ヴィランに襲われているなら尚更。なのに、こいつは「必ず恩は返す」と言った。

「ヒーローだから命を張るのは当たり前だって可笑しいと思うんです。ヒーローはヒーローで人間だから。痛い怖い辛いって思うこともあるんです。それに、助けて貰ったら私は何かを爆心地さんに返す、これは当たり前です」

そう言って微笑む彼女を素直に美しいと感じた。綺麗にひとつに括られた黒髪。紺に近い深い青の瞳。パーカーにジーンズというボーイッシュな格好をしていて、少々パーカーはぶかっとしていたが、そこがまたいい。

「また会える可能性なんてゼロに等しいですし、今何かして欲しいことがあるなら言ってください」
「じゃあ…『愛してる』って言ってくれ」

俺も柄にもないことを言ったのは、声に出して直ぐに気づいたし、彼女がポカンとしたのがすぐにわかった。

でも、これは思わず飛び出たことで──勘違いしてねぇといいんだが。