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死とは。
儚く、切なく、そして綺麗なものだと私は思うのだ。
生きるよりも、楽しくて最後には死は皆を救う。なのに鬼は、死を見ようとはせず醜く生きようと足掻く。それが、とても詰まらなく、面白くない。
「嫌だ嫌だ嫌だ!! 俺は未だ死にたくない!!」
血鬼術も使えない、私を死まで追いやれなかった醜く弱い鬼は無様にも吠えた。鬼狩りに命乞いとは本当に醜い。どうにも好きにはなれなさそうだ。
「死は平等にやってくる。大丈夫、死は救いだから」
淡々と鬼に告げる。鬼は少しずつ少しずつ、後ろへ下がって行こうとしているが結局のところ何も意味は成していない。
「死の呼吸─壱の型『
怯えた目をした鬼の首を切る。それは風のように静かで、切られた筈の鬼も切られたことを認識していなかった。
「死は、決して痛い訳では無い。私が介錯してあげるんですもの。痛みは感じさせないわ」
死こそ救い。死んだもの全てを平等に。
嗚呼、なんて素晴らしいものなんだろうか。とても晴れ晴れする。
「──ありがとう」
ほら、死の道を辿っていく鬼もこうやって感謝している。死は救いなのよ。今日もまた一つ、救われたわ。この調子で私も逝きたいのだけど──。
「カアカアカア!! 次は北北東! 北北東に迎って!! 自 殺は赦さないよ!!」
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