ボクが育てる【鬼滅の刃】【不死川実弥】 (ページ26)

今日:2 hit、昨日:5 hit、合計:73,397 hit

26話ページ26

【ＮＯside】

あの男と会ってから少女の日常はガラリと変わった。人間を見れば酷く美味しそうに見えて堪らなかったし、好きだった筈の太陽が酷く恨めしく感じるようになった。

家に籠る日々が続いた。少年のおとうとが心配して見に来てくれた。その度に何度も、何度も、少女は理性と戦い勝ち続けた。

少年を連れていった死が酷く羨ましく感じるようになった。

あの男はあの日から毎夜毎夜と顔を出しては少女に血を飲ませ続けた。その度に、少女はもがき苦しみ、死を願った。

自分の手首を掻き切った回数なんて覚えていない。首も何度も掻き切った事か。日光に当たろうとすれば身体が拒否を起こして動かなくなる。

泣いて泣いて泣いて。気がつけば少女の隣にいた少年弟は寿命で死んでいて、孫が隣にいた。少女は寿命で死ぬ事もないのか、と悲しんだ。

少年の弟の孫を連れて、あの男から逃げた。気がつけば、太陽の光なんてへっちゃらになっていた。少女は『鬼』になってしまったのに、日光を克服し、藤の花を克服した。最も多く鬼舞辻無惨の血を体内に取り入れていた筈なのに。

孫は『鬼狩り』の存在を知った。死を渇望している少女の為に鬼狩りになり、我流で『風の呼吸』を作った。

少女に頼まれ何度も少女を殺そうと思った。けれど孫は殺せなかった。父と同じくらいずっと隣にいた少女。人を一人も喰っていないことは知っている。そんな少女に情が湧いて殺すことは出来なかったのだ。両目に渡って『上弦の壱』と刻まれていたにも関わらず──。