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21話 ページ21



広い草原。咲き誇る藤の花と彼岸花を通り抜けた先にある小さな丘のような草原だ。そこに酒を持ってボクは向かっていた。

ここに来るのも何年ぶりだろうか。確か、実弥を拾ってからは1度も来ていなかったと思うのでかなり久しぶりに感じられる。

名前も書かれていない墓石の横にドカリと座ると酒を一口飲んだ。喉が乾いていた訳じゃなかったのに、酒は酷く喉に染みた。

目を細め思わず空を見上げるが、月は出ていない。曇り空だ。そんな空を見ながら「実弥は生きているだろうか」と声を漏らした。

案外、実弥のことを気にかけている自分に驚いた。昨日のことと言い、実弥に会ってからボクは何かが変わってしまったような気がして落ち着かない。

きっとこの事を墓石の中にいる()()に言えば()()()()()と少し嬉しそうにして言うのだろう。

それほどまでに自分は変わってしまったのか。昔のことを思い出すが、あまり変わったようには思えない。

いや、やっぱり変わってしまった。全てが変わってしまった。昔の自分はもっと明るくて、それでいて怒りぽっかった。今とは違ってもっと楽しそうに笑っていたし、夜よりも昼が好きだった。

変わりたくなかった、と思う。変わりたくて変わった訳じゃない。でも変わらざるおえない状況下に立ってしまえば、直ぐに変わってしまうものだ。

それが無性に腹立たしくて、置いていかれた気分になる。

時というものは残酷で悲しいものだ。

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作者名:フ瑠ラン | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2019年9月15日 19時

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