9-カフェラテ-(SideA) ページ9
それでも服を着てしまえば外から分かる位置には１つも痕がつけられていなくて、
そんなところが私を逆に興奮させたし、
社内恋愛を秘密にして楽しむという方向に変えていった。
平日に体を重ねる時は終電で帰るところ。
家に来ることもあったけれど、
どれだけ遅くなっても泊まることはなくて、
私も引き止めなかった。
それでも、出張という事で出掛けた時は仕事終わりに朝まで抱き合って眠る。
信五さんが私の名を呼ぶ声が、
いつも堪らなく甘くて、何度も
村「A」
と呼んで欲しくて、
自分が1番だろうが何番だろうがこうやって側にいて、たまに抱いてくれて、
甘い言葉を囁いてくれたらそれだけで満足するようになった頃には、
転職して約1年、
関係を持って半年ちょっとが過ぎていた。
その頃には、
私も1人で営業に出掛けることが多くなって、
久々にあのカフェに足を運ぶ。
この会社に受かったら、
ここに通えるかもと思っていたのに
気がついたらもう1年も経っていたなんて。
信五さんと過ごす方を優先していて、
完全に待つ女になっていることに気がついてはいるのだけれど、
いつ信五さんから連絡が来るかわからないからと、
会いたいからとほとんど外部との繋がりを遮断していた。
カフェの扉を開けると響くベルの音。
あの時に来た時と変わらない空間が私を受け入れてくれる。
カウンター内には、背の高い男の人。
金髪に近い髪色がこの空間には異質だけれど、
彼には似合っているから異質と思ってしまう方が野暮な考えなのかもしれない。
混雑した店内で案内されたのはカウンターの席。
金髪の彼の目の前の席。
大「お決まりですか？」
柔らかく微笑まれたのは営業スマイルだとはわかっていても、悪い気はしない。
『カフェラテを…』
大「はい」
目を合わせてニコッとされてドキッとする。
なんとなく、ふふっと笑われた気がしたのは気のせいかな。
大「はい、どうぞ」
と目の前に置かれたカフェラテからいい香りがして、温かくて。
それで仄かに甘い。
『…美味し…』
大「どういたしまして」
今日2度目の微笑み。
心臓がキュッとして、なんだか初恋みたいだなと思いながらゆっくりとラテを飲み干した。
震えたスマホが私用のもので、すぐに開いて目に入るのは
村「今夜空いとるか？」
のメッセージ。
空いてはいるけれど…
そろそろこの関係も終わらせたい。
ふとそう思ったのは、
カウンターにいる金髪の彼と目が合ったから。
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華絢(プロフ) - ひみささん» まったく違いすぎて、引かれないか不安ですΣ(ﾟдﾟlll)ｶﾞｰﾝ (2018年2月19日 19時) (
レス) id: 1867a62e47 (このIDを非表示/違反報告)
ひみさ(プロフ) - 新作公開、ありがとうございます(*^^*) 今までと違うテイストのようで、続きが楽しみです♪ (2018年2月19日 19時) (レス) id: 76e38abfc7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：華絢
| 作成日時：2018年2月19日 18時
