奇しきめぐり合わせ。

43-歯型-(Side信五) ページ43

雨やからか？

空いとる部屋が2つしかなくて、

心の中で、

平日の午前中から世の中みんなお盛んやなぁ。

と自分のことは棚に上げて笑った。


.


それにしても…


村「なぁ、A」


ベッドに倒れこんどるAに話しかける。

顔だけ動かして俺を見たのは、

うつ伏せになって腕を前に投げ出すようにしとるから。

体ごとは動かされへんからやな。

やって、腕縛って手を下げられへんようにしとるんやから。

珍しく、抵抗なんかするから、

俺のネクタイが役に立つ。


村「最近、旦那とシタやろ？」


『…っ…』


村「図星か。

で、どうだったん？

よかったん？」


『…』


返事はせんのに、少しだけ瞳が濡れた。


村「…旦那になにされたん？」


『…』


村「言わな、もうこんな風に満たしてやれへんなぁ」


『…っ、言います…。だからやめないで…？』


されたこと言わしながら、同じように攻めていく。


村「今日はほんまに凄いなぁ」


乱れ方がいつも以上や。

それに、毎回同じところ。

見えへん場所につけとった痕。

挑戦するかのように歯型がついとる。

バレたってことやんな。

それやのに、こうやって俺に縋ってくるところを見ると、

Aはまだ俺との関係がバレとることを知らんな。

ということは、

完全にあのお坊ちゃんからの挑戦やろ？

ええで？

売られた喧嘩は買うタイプやねん。

それに、俺、

誰にも負けへん自信だけで生きてきとるんやわ。

せやから今回は内股に。

思い切り吸い付いて、

いつもより濃くしっかりと痕を残した。

外に出た時に雨はまだ上がってへんくて、

寧ろ朝よりも強く降っとった。


村「嵐みたいな天気やなぁ」


俺らに起こることの前触れなんか、

それとも雨降って地固まるのか。

そんな先のことなんて、誰ももうわかれへんな。

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