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46-犬みたい-(Side B) ページ46

隆先生に会うと…抱かれると。

体の芯から、奥底から満たされる。

信五さんに愛されてはいると思うけれど、

何が違うのだろうか。


「はぁ…」


今夜も帰りが遅そうだから、湯船につかって、

そしてもうすぐ使い切りそうなボディクリームを丁寧に塗った。

外はなんだか大雨で、

この時間に帰ってきたら

結構びしょ濡れで帰ってきそうだなと思っていたら、

鍵が開く音がする。

バスタオルを手に持って、

パタパタと玄関に向かって行く。


「おかえりなさい」


言いながら渡すバスタオル。


村「ただいま。お、すまんな」


受け取ってすぐにガシガシと体や頭を拭く姿が

何だか犬みたいで笑えてしまう。


村「ん?どないした?急に笑いだして」


「ううん、犬みたいって思っただけ」


ふふっと笑っていると、くしゃっと頭を掴まれて、


村「そんなに俺は可愛くないやろ?」


真剣な、それでも笑った目をして言ってくる信五さん。


村「せやけど…」


くんくんと私の首元の匂いを嗅いで、


村「なんかめっちゃええ匂いするなぁ」


なんてまた犬のようなことを言う。


「テーブルに置いてあったカタログで注文しちゃった。

あれって、信五さんのだったのかな?」


村「あー、なんかそんなん貰った気もするんやけど、

結構前のやろ?」


「でも、まだ注文できたし、

それに、なんかこれ気にいっちゃった」


村「そうなんか?

やったら今度一緒に買いに行くか?」


「ほんと?いいの?」


村「おん。ええで?」


そういいながら微笑み合っていて、

ここだけ切り取ってみたら、

私はシアワセの絶頂に見えるんだろうな。


「お風呂、沸いてるから入る?」


村「おん、せやな。Aは入ったんか?」


「うん、さっき」


村「そうか。じゃあ入ってくるわ」


言いながらバスルームに消えて行く。

その姿を見ながら、パタンと扉が閉じるのを待つ。


「…またか」


平日だというのに、

ジャケットから漂うシトラスの香り。

本当にこの匂いは嫌い。

ハンガーにかけてから、徐に消臭剤を吹きかける。

きっと、今夜、信五さんは私を抱く。

私で何かを浄化でもするように、

とても優しく、ものすごく甘く。




でもね。



そうしても、

あなたは浄化されることなんかできないんだよ?

だって、私も汚れているのだから。




同じように…

ううん、今日はきっと同じようなタイミングで?

私は隆先生を受け入れていたのだから。

47-足りないもの-(Side B)→←45-子ども-(Side隆平)



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華絢(プロフ) - ひみささん» まったく違いすぎて、引かれないか不安ですΣ(゚д゚lll)ガーン (2018年2月19日 19時) (レス) id: 1867a62e47 (このIDを非表示/違反報告)
ひみさ(プロフ) - 新作公開、ありがとうございます(*^^*) 今までと違うテイストのようで、続きが楽しみです♪ (2018年2月19日 19時) (レス) id: 76e38abfc7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:華絢 | 作成日時:2018年2月19日 18時

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