【ＣｌｏｖｅＲ】橙 (ページ9)

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7杯目。ページ9

そんな僕の気持ちを知ってか知らずか

大「これなにー？」

って僕とこの子の間に入って来て

うつむき気味だった彼女の顔を

下から覗くように問いかける。

『このチョコは白ワインのなんですー』

大倉の笑顔に釣られたのか、

さっきまでのシュンとした表情やなくて、

ふわふわの笑顔に戻って答えとる。

それにしても、チョコも酒入りなんやね(笑)

大「じゃあ、俺もー」

って、大倉も手を伸ばしとって。

こうやって、

天真爛漫に進める大倉にちょっと嫉妬してまう。

どうしても頭で考えてからやないと動けなくて、

そうしているうちに欲しいものはこぼれていく。

いつも、そうなんやけど、

そういう癖みたいもんはなかなか直せんくて。

『しょっぱいのばっかりだと飽きちゃうし、

日本酒にチョコもいいですよねー？』

村「んまー。このチョコめっちゃ美味いなぁ」

『まだあるので、もひとつどうぞ？』

大「ほんまに？ええの？」

横で広げられとるこんな会話を聞きながら、

小さくため息ついてまう。

はぁ…

やけど、ずっとこれじゃああかんですよね…。

ちょっとだけ勇気出す言うんかな？それを出して…

「村上くん、チョコ苦手やないですかぁ！

僕が先ですよぉ」

村上くんを制して言ってみる。

案外、簡単やったかも…？

『うふふ、どーぞ』

見たかったのは僕に今向けられとるこの笑顔なんですよ。

ふふって笑いながら、

僕と大倉にチョコ取らせて、

『あっ！』と言いながら、

各テーブルを回り終わってカウンターに戻る

亮ちゃんとヤスにもチョコ配ってはる。

また、もう少し、

ゆっくりこっちに来て話してくれたらええのに。