【ＣｌｏｖｅＲ】橙 (ページ47)

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45杯目。-Yasu　Side- ページ47

ほんま、マルが持ってかれるのわかるわ。

美味そうに飲むやもん。

いつもなら並んでるはずの

塩辛やったりチャンジャやったり。

そういうのの代わりに、

スナック菓子が置いてあるところを見ると、

そんなに飲む気はあらへんのやろうな。

遠回しに聞いても

Aさんはきっとはぐらかすやろうから…

ここはもう単刀直入に聞いた方がええな、きっと。

安「なぁAさん？

なんかあったんやね？」

『…』

安「言われへん？

やけど、俺やったら、

もしかしたら力になれるかもしれんで？」

口をつけていた酒器をテーブルにコトっと置いて、

俺の方を見ることはなく、

揺れる水面を眺めとる。

ライトでキラキラ光ってて、

めっちゃ綺麗やね。

『…ねぇ、ヤスくん？』

安「おん？」

『なんかさ…』

そう切り出して話し始めた話は、

誰にも言わんって約束したから、

まだ俺の中に止めておくな。

『ヤスくん、ありがと。また来てもいいかな？』

帰り際にそう言った目が涙で濡れとって、

思わずギュッと抱きしめて

安「いつでも来てええよ？」

って耳元で言ったことは、

マルにも他の人にも言わへんでええよね？