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91 ーabサイドー ページ43

「やべぇ、なんか緊張してきた」


そう言いながら楽しそうに笑う照だけど、こっちは緊張のレベルが違うよ……

手に汗を握りながら列に並ぶ。


徐々に前に立つ人が少なくなって、ようやく乗り場の目の前までやってきた。

どこかから子供の泣く声が聞こえる。


これ、本当に乗るの……?


俺は固まった体をどうにか前に進めて、荷物を荷物入れに預け照の隣に腰を下ろす。

安全バーが下げられればドキドキが止まらない。


お願い……神様助けて……


どうしても緊張から逃れられなくて、隣の照に声をかける。


「ねぇ照、手ぇ繋いで」

「え?」


照がそう言ったまま固まってる間に機械は動き出してしまって、俺の意識は飛びそうになる。


急にスピードが上がって、そのままほぼ垂直にレールを上がっていく景色に、そこからの記憶はなくなった。





「あっはっは!」


やっと地上に降り立つと、照の笑い声が響く。

俺は絶賛テンションが下がってるところで。


「笑わないでよ……」

「だって、言ってくれればいいのに」

「言えなかったのぉ……」

「阿部1人で円周率叫んでたからね?」


あぁ……そうだっけ。記憶ない。

あ、やべ、気持ち悪い。


俺が口元を抑えると、すぐに大丈夫?と背中を摩ってくれる照。

散々笑ってたくせに今優しさ出してくんなよ。


「ごめん、大丈夫……え?てか照も気持ち悪そうだったじゃんさっきまで。大丈夫?」

「え?そうだった?……見間違いじゃない?」

「バレてるからな」

「あーあ、かっこつけたかったのに」


そう言って楽しそうに笑う照。

もう楽しいならなんでもいいや。


今度はゆっくりなのに乗ろうって照が言って、乗り物型のシューティングゲームに並ぶ。


順番が来ると、2人で1つの乗り物に乗って、狙いを定めて的を打つというものだった。

打った数を競おうと言ったら、照に途中で擽られたりちょっかいを出された。


でも最終的に勝ったのは俺。

照はそんなに?ってくらい落ち込んでいた。


「じゃあ阿部の好きなの何でも言って!次それ行こうよ」


んー、遊園地って絶叫系が多いからなぁ。

じゃあなんで来たんだって話だけど。


照に手渡されたマップを眺める。

その中で俺でも大丈夫なのを一つ見つけて思わず口に出す。


「……お化け屋敷」

「あー……そういえばあったね」

「ほら!文化祭、照と行けなかったし!ちょうど良くない?」


俺はマップを確認して先陣を切ってそこへ向かった。

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桜井サラ(プロフ) - ふかやのねぎさん» ありがとうございます!!こちらこそ読んでいただけて光栄です!更新遅めですが頑張ります...! (2020年9月23日 1時) (レス) id: aa947d258f (このIDを非表示/違反報告)
ふかやのねぎ(プロフ) - いわあべの学園ものなんてなかなか無いので嬉しいです!これからも頑張ってくださいね!! (2020年9月22日 18時) (レス) id: 55d9539a79 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:桜井サラ | 作成日時:2020年9月13日 14時

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