82 ｰiwｻｲﾄﾞｰ ページ34
保健室に戻ると、阿部に抱きついている北斗が見えた。
その話を聞いたばかりだったから酷く焦ってしまって。
｢おい！北斗、何してんだよ！｣
そう引き剥がしてみると、よく見たら阿部が北斗に抱きついていた。
｢……あれ？｣
｢照……｣
阿部は力なくそう言うと、今度は立っている俺を引き寄せてぎゅっと抱きついた。
心臓がうるさいのを抑えて、俺は宥めるように背中をトントンと優しく叩いた。
｢ど、どうした……？｣
｢ううん、ごめんこんなことして｣
そう言って俺の首元に顔を埋めるから、俺はベッドの端に腰掛けた。
周りのみんなにどういうことだと目配せすると、みんな優しい顔をして俺を見た。
｢さっきは俺らを送り出してくれたけど、本当は怖くて仕方なかったんだって｣
樹が困ったようにそう言って、阿部は恥ずかしいのか抱きつく力を強くした。
こんな時だけど……可愛すぎだろ……
俺は抱きしめたまま頭をふわっと撫でた。
｢ごめんな、守れなくて。怖かったよな｣
｢照、教室行ってるね｣
気を使ってくれたのか慎太郎がみんなを連れて出ていって、ついでに仕切りのカーテンを閉めてくれた。
完全2人きりの空間じゃん。
と、初めてのことに少しだけ舞い上がった。
でも目の前の阿部は俺から離れて。
｢照ももう行かないと……俺も……｣
そう言ってベッドから降りようとするから、俺はもう一度引き寄せて抱きしめた。
｢まだ、よくね……？｣
｢え？｣
｢好き｣
｢え……｣
……俺、今なんて言った？
阿部は声を裏返らせながら、ただ黙って俺に抱きしめられていた。
ちょっと待て、何どさくさに紛れて告白してんだよ俺！
｢いや、あの、違くて｣
俺は焦って阿部を体から離すけど、阿部と目が合って余計に心臓がバクバクしてる。
はぁ、本当はちゃんとした所で、ちゃんと言いたかったんだけど……好きになったらすぐに行動しちゃう俺には無理だったみたい。
俺は阿部の目をしっかり見つめる。
｢いや……違わない。俺、阿部のことが好き｣
｢……｣
｢ごめん急に。こんなことがあったばっかで、弱みに漬け込んでるみたいだけど、本気。付き合おうとか言わない。だからせめて、俺に阿部のこと守らせてほしいんだ｣
今の想いを全てぶつけて、でも付き合おうとか言わない、なんてちょっと逃げてしまった。
本当は俺の恋人になってほしいくせに。
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桜井サラ(プロフ) - ふかやのねぎさん» ありがとうございます！！こちらこそ読んでいただけて光栄です！更新遅めですが頑張ります...！ (2020年9月23日 1時) (
レス) id: aa947d258f (このIDを非表示/違反報告)
ふかやのねぎ(プロフ) - いわあべの学園ものなんてなかなか無いので嬉しいです！これからも頑張ってくださいね！！ (2020年9月22日 18時) (レス) id: 55d9539a79 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：桜井サラ | 作成日時：2020年9月13日 14時
