76 ｰiwｻｲﾄﾞｰ ページ28
あれから、俺はダンス部の出番があるからまだ時間はあるけどそのまま舞台近くに残ることにした。
でもクラスの出し物が終わってから阿部が見当たらない。
LINEしても既読がつかないし、嫌な胸騒ぎだけが俺をくすぐる。
｢なぁ、やっぱ阿部遅くね？｣
｢気にしすぎだよ(笑)ほんっと好きだね〜｣
｢でも、あいつクラス外に友達なんかほとんどいねぇし、なんかあったんじゃ……｣
樹には阿部のことが好きだとは言ってないから、慎太郎にコソコソと話しかける。
｢んー、そんな気になるなら探しに行く？｣
時計を見ると部活の集合時間まではあと1時間。
逆に動くなら今しかない、と俺は慎太郎と樹とそこを後にした。
少し歩くと北斗を見つけて。
｢あ、良かったぁ〜探してたんだよ｣
北斗がそう言った。
｢ずっと舞台んとこいたよ｣
｢なぁ阿部は？一緒に写真撮ってたんじゃねぇの？｣
でも北斗はもう着替えてメイクも落としていて、明らかに時間が経っていることがわかる。
｢えぇ俺見てないよ？途中まで一緒だったけど、ほら、阿部ちゃんは男子人気すごいから｣
ファンクラブの子中心に女子から写真を頼まれる北斗と違って、阿部はさっきの舞台から男子の視線が変わったように感じた。
やっぱり、なんかざわざわする。
頭の中に過ぎる嫌な予感に、勝手に身震いする。
んなわけ……
とは思うけど、頭のどこかでもしかしたらと考えてしまう。
｢これ本格的に探した方が良くね？｣
俺じゃなくて慎太郎がそう言って、樹もそれを聞いて大きく頷いた。
嫌な想像をしていたのは俺だけじゃなかったみたいだ。
とりあえず俺はもう一度電話をかけて確認する。
ﾌﾟﾙﾙとなる度に不安が募っていくが、絶対出ないと思っていた電話はコールが途切れて繋がった。
驚きすぎて声を出すのも忘れていた俺は、慌てて阿部に問いかける。
｢え、もしもし！？阿部今どこいんの！｣
｢は？出たの？｣
｢も〜、なんだぁただの杞憂だったじゃん(笑)｣
樹や慎太郎も安堵の声を漏らし、電話の声に耳を傾ける。
『……っ……か…………て……』
｢え、聞こえない、なんて？｣
不自然に途切れる声に、ｶﾞｻｺﾞｿと雑音が酷い。
｢ねぇなんかおかしいんだけど｣
皆にそう報告して、俺はスピーカーにする。
『……ゃ……く…………す……て、っ……』
1人で電話していた時はただの疑惑だったものが、皆と顔を合わせて確信に変わる。
――――阿部が危ない。
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桜井サラ(プロフ) - ふかやのねぎさん» ありがとうございます！！こちらこそ読んでいただけて光栄です！更新遅めですが頑張ります...！ (2020年9月23日 1時) (
レス) id: aa947d258f (このIDを非表示/違反報告)
ふかやのねぎ(プロフ) - いわあべの学園ものなんてなかなか無いので嬉しいです！これからも頑張ってくださいね！！ (2020年9月22日 18時) (レス) id: 55d9539a79 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：桜井サラ | 作成日時：2020年9月13日 14時
