69 ーiwサイドー ページ21
あれから慎太郎は茶化すわけでもなくただただ応援してくれて、ついに文化祭当日がやってきた。
朝、自分達の出番もあるから何人か緊張してる人もいる中でクラスみんな教室に集まってくる。
そんな中俺は別のことで頭がいっぱいだった。
「……なんか緊張すんだけど」
「なんでそっちが緊張してんの(笑)」
それまでも練習やらリハーサルやらで阿部が衣装を着ることは何度かあったけど、その時俺は自分のグループのことやダンス部の方へ行っていてまだ見た事がない。
「んー、初デートの時待ち合わせで初めて私服姿見る時みたいなドキドキ感。なんか、わかんない?(笑)」
「えー、まぁわからないこともない」
俺らの出番は午後からだから、昼ご飯時に俺らは準備にここに戻ってこなくちゃいけない。
それまではいつメンの5人で回るつもりだ。
「おはよー……何話してんの?」
後ろから急に話しかけてきたのは今来たらしい阿部。
慎太郎に言ってからさらにハッキリと自覚したみたいで、それだけでドキンと心臓が音を立てる。
「いや、今日忙しくなるなぁ……って」
「あー、照も慎太郎もダンス部の方あるもんね」
上手く誤魔化せたみたいだ。
ふぅ、と2人で顔を見合わせ肩を撫で下ろす。
「俺ジェシーと北斗と見に行くからね、頑張って!」
「おう、ありがと」
まぁそうなるわな。
余計に緊張が増すのを感じながら、担任の声を聞いた阿部が席につくのをボーッと眺めていた。
今日の説明を聞かされるも頭に入ってこず、次に理解したのは担任の解散と言う声だった。
「行くぞ!照!慎太郎!」
ジェシーが楽しそうにはしゃいでいる。
阿部と北斗は子供みたいなジェシーを微笑ましそうに見ているし、慎太郎は既にテンションが同レベルだ。
俺は緊張でテンションが低く見えそうなのが嫌で明るく答える。
「行こうか!最初は何から行く?」
「やっぱお化け屋敷でしょ!!」
……はっ!
忘れていた。最大の敵、お化け屋敷。
うちの学校は文化祭が結構本格的なのが有名で、だからこそ阿部の女装にも期待しているのだが、特にお化け屋敷は毎回クオリティが高いらしい。
去年の文化祭では目の前の廊下も通りたくないほどだった。
入れるわけがない。
でも阿部の前でお化け屋敷が怖いなんて、言えない。
「いいね!行こう!」
阿部までそう言って、俺は引き摺られるように、いや、余裕そうにお化け屋敷に向かった。
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桜井サラ(プロフ) - ふかやのねぎさん» ありがとうございます!!こちらこそ読んでいただけて光栄です!更新遅めですが頑張ります...! (2020年9月23日 1時) (レス) id: aa947d258f (このIDを非表示/違反報告)
ふかやのねぎ(プロフ) - いわあべの学園ものなんてなかなか無いので嬉しいです!これからも頑張ってくださいね!! (2020年9月22日 18時) (レス) id: 55d9539a79 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:桜井サラ | 作成日時:2020年9月13日 14時