49 ーabサイドー ページ1
「この前、亮平が倒れたじゃん」
蓮が口にしたのは、体育祭の日の話ではなく体育祭の練習の時の話らしい。
熱中症で倒れたあの時だ。
「いつか、そうなるんじゃないかってずっと思ってた」
「亮平はサッカーやりたいって言い出した俺の代わりにバイトしてくれてて、本当だったら、俺も生活費とか学費稼がないといけないのに、亮平に負担かけてるんじゃないかと思って……サッカー辞めて俺もバイト始めた」
「なんで……俺のせい?」
「違う、俺が勝手に決めた」
蓮は頑なに俺のせいだとは言わなかった。
だって、そんなの、俺のためにサッカーを辞めたってことでしょう?
俺が倒れなかったらここまで心配させることなかったのに……
確かにバイトが忙しいのは確かだ。
母さんは今だってここにはいないし、父親だっていない俺たちは自分で稼ぐしか道はない。
まだラウールは義務教育も終わっていないから、今のうちにもっとお金を貯めないといけない。
俺はそのために勉強もバイトも両立して頑張っているつもりだった。
でもそれは別に苦じゃなくて、蓮が楽しんでサッカーをしてるところを見られない方が苦しいよ。
それに、俺が倒れたのはバイトのせいじゃない。
……あのことで。苦しくなってしまうだけなんだ。
「ごめん、心配かけて。俺の話、聞いてくれる…?」
蓮が優しく頷いたので2人で家へ向かった。
たぶん覗きこまれた俺の顔はひどく苦しそうな顔だっただろう。
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桜井サラ(プロフ) - ふかやのねぎさん» ありがとうございます!!こちらこそ読んでいただけて光栄です!更新遅めですが頑張ります...! (2020年9月23日 1時) (レス) id: aa947d258f (このIDを非表示/違反報告)
ふかやのねぎ(プロフ) - いわあべの学園ものなんてなかなか無いので嬉しいです!これからも頑張ってくださいね!! (2020年9月22日 18時) (レス) id: 55d9539a79 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:桜井サラ | 作成日時:2020年9月13日 14時