45 ｰiwｻｲﾄﾞｰ ページ45
｢阿部、これどうやんの？｣
俺が聞けば阿部は丁寧に教えてくれる。
ペンを持つ指が綺麗で、その手がすらすらと公式を書き上げる。
｢ここってxでくくられてるじゃん？展開したらこうなるからこの公式使えば解けるはずだよ｣
｢さんきゅ｣
それだけ教えてもらえばまた無言の時間に戻る。
真剣に参考書と見つめ合う阿部に少し見惚れたりなんかして。
ボーッとペンが動かないでいると、今の説明じゃわからなかった？っていつ俺の様子をうかがったのか阿部が身を乗り出す。
｢いやいや、ごめん考えてた。わかったよ｣
そっか、って自分の勉強に戻っていく阿部に少しドキドキしながらもう一度ノートに目を向ける。
阿部の書いた公式とにらめっこして何とか問題を解く。
ガチャっと音がしたかと思えば、玄関のドアが開き蓮が帰ってくる。
｢おかえり。あ、ラウも一緒だったんだ｣
｢うん、途中で会った｣
お邪魔してますと俺が顔を向ければ、向こうも軽く手を上げて返事をする。
隣にいたのは可愛らしい男の子。
違和感を感じたのは他でもない。
彼が外国の血を感じる顔立ちをしていたからだ。
その子は俺をじっと見つめる。
この3人、兄弟揃って顔整いすぎだろ……
圧倒されたままの俺は、なぜ下の子がハーフなのか聞けるわけもなかった。
またすぐに勉強に戻っていた阿部に俺も慌てて机に向かう。
後ろでは蓮とラウと呼ばれる弟がコソッと話をしていた。
｢誰…？｣
｢前ちょっと言ったことあるでしょ、亮にぃの友達。ひかる。｣
｢あぁ。喋れないとか言ってた人か｣
全部聞こえてるんですけど。
兄弟に何言ったんだよ。
聞き耳を立てていると色々考えてしまって集中出来ないから、もう一度阿部に話しかける。
｢そっち今何やってんの？｣
｢俺？これ化学だよ｣
パッと見ると、試験範囲であろう化学反応式がノートに書かれていた。
やばい、なんにもわからない。
｢どした？集中できない｣
｢あ、いや、ごめん邪魔して｣
阿部は困ったように笑って、ちょっと休憩しよっかって。
席を立ってジュースとお菓子を持ってくる。
チョコだ……
｢勉強する時は甘いものだよね｣
｢うん、糖分まじで必要｣
遠慮なくそのチョコに手を伸ばして口に放り込む。
うまっ……
思わず笑みが零れて慌てて顔を戻す。
でも一足遅かったみたいで。
｢ふふ、チョコ好きなんだ｣
｢うっせ……｣
なんだかいつもの調子が戻ってきた。
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桜井サラ(プロフ) - ゆのんさん» コメントありがとうございます！励みになります…更新頑張ります！！ (2020年5月12日 8時) (
レス) id: aa947d258f (このIDを非表示/違反報告)
ゆのん - 凄く面白いです。更新楽しみにしています。 (2020年5月12日 3時) (レス) id: fc4b9231a5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：桜井サラ | 作成日時：2020年4月25日 8時
