34 ｰabｻｲﾄﾞｰ ページ34
家に帰り、蓮のおかえりという声に返事をする。
｢なんかあった？｣
｢へ？｣
突拍子もないことを聞かれて、少し間抜けな声が出てしまう。
何かあったかと言われて思い起こすと、1番最新の記憶である照しか出てこない。
照の腕を思い出し、昔の記憶が少しずつ蘇る。
っ、いやだ……
目を瞑りたいところだが、頭の中に流れる映像はどれだけ目を瞑っても消えることはない。
怖いっ、やだっ……
その思いは口に出ず、ただ握った拳が震える。
その頃には蓮の声も姿も耳には入っていなくて、肩に触れた蓮の手に俺は意識を飛ばした。
ふと、どこか深くへ落ちるような感覚と共に目を覚ました。
ゆっくりと目を開ければリビングのソファの上。
蓮の焦りようを見ると、意識を飛ばしてからそんなに時間は経っていないみたいだ。
回らない頭でそんなことを考えて、家に帰ってきてからのことを思い出す。
｢亮平……大丈夫？｣
｢うん、ごめん……｣
少し力が入らないけど頑張って起き上がる。
蓮は水をコップ1杯持ってきてくれた。
それを飲むと少しは頭がスッキリする気がした。
｢もしかして、昔のこと？｣
その問いに俺は首を動かせなかった。
もちろんその通りだし、今でも忘れたい過去なんだけど。
｢……触ってもいい？｣
俺が意識を飛ばしたりしたから蓮にまで気を遣わせてしまっている。
その問いにはうんと頷いた。
すると蓮は俺の背中を摩った。
｢何で今急にそうなったのかは知らないけど、俺には何でも相談してね｣
今はその優しさが胸に染みて少し泣きそうになる。
照のこと言うべきなのかな。
いや、別に照が悪いわけじゃない。
抱きしめられてビックリしただけで……
だよね？
俺はソファに腰掛けたまま自分の手元を見つめる。
その日はずっと考え込んだままで少し頭が痛かった。
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桜井サラ(プロフ) - ゆのんさん» コメントありがとうございます！励みになります…更新頑張ります！！ (2020年5月12日 8時) (
レス) id: aa947d258f (このIDを非表示/違反報告)
ゆのん - 凄く面白いです。更新楽しみにしています。 (2020年5月12日 3時) (レス) id: fc4b9231a5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：桜井サラ | 作成日時：2020年4月25日 8時
