22 ｰiwｻｲﾄﾞｰ ページ22
教えると言われて嬉しかったのも束の間。
そのうち全てのテストが返却され、暗記すればいいだけの社会以外は何とも言えない点数だった。
ほとんどの教科は阿部にも呆れられた。
得意の社会ですら阿部には足元にも及ばない。
なんでそんな賢いんだよ。
俺が部活をしてるからなんてそんな理由通用しない。
コイツもバイトがあるんだし。
てか、そんなバイトして何に使うつもりだよ……
その疑問も未だにぶつけられずに、テストからすぐに体育祭の練習が始まった。
高校って意外と忙しいんだな、なんて思いながらまた阿部と出る競技について話していた。
俺は100mリレーと綱引き。
阿部は玉入れ。
そしてジャンケンに負けて800m走を走ることになっていた。
その体格からして、そんなに走れるのか？
いや、走れるとして負ける気しかしないんだけど……
俺は体力には自信があるほうだと思う。
800mぐらいなら、と阿部に交渉してみる。
｢阿部、リレーと変わろうか？｣
｢ううん大丈夫。俺短距離苦手だし｣
笑顔でそう答える阿部に少し心配になりながらも、本人もこの調子だから俺はそれを信じることにした。
体育の時間。
暑いグラウンドの中練習が始まり、それぞれ自分の競技の練習場所へ向かう。
俺と阿部は100mリレーと800m走で同じ場所だった。
ついでに俺がバトンを渡すのはジェシーなのでジェシーも同じグラウンドの真ん中だ。
試しに俺達は1回走ってみることになった。
阿部の所もそうらしい。
俺は頑張ろうとする阿部を少し気にしながらも自分の練習に集中した。
俺は2走目なので、バトンが来るのを待つ。
その間、800m走の人は俺らのもう1つ外のレーンを走っているみたいだ。
一周してきた阿部が俺を追い抜かす。
やっぱり少ししんどそうだ。
俺は阿部を横目に迫ってきた順番に向けて位置につき、バトンを受け取り走り出す。
100mの俺は阿部を軽々と抜かすことになる。
横をダッシュで走り抜け、阿部を横目で盗み見る。
既に300m目に達している阿部の少し苦しそうな表情が見えペースを落としてしまった。
それに気が付いたのか阿部の表情が少し切り替わりしっかりとした顔つきになる。
それが余計に心配。
無理してるんじゃないかって。
俺もなんでこんなに心配なのかわからないけど。
思考が勝手にそう解釈するんだ。
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桜井サラ(プロフ) - ゆのんさん» コメントありがとうございます！励みになります…更新頑張ります！！ (2020年5月12日 8時) (
レス) id: aa947d258f (このIDを非表示/違反報告)
ゆのん - 凄く面白いです。更新楽しみにしています。 (2020年5月12日 3時) (レス) id: fc4b9231a5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：桜井サラ | 作成日時：2020年4月25日 8時
