21 ｰiwｻｲﾄﾞｰ ページ21
テストは1日3教科ずつ行われ、最終日には部活も再開した。
部活が始まれば真っ先に宮舘先輩の元へ向かう。
｢この間はありがとうございました！｣
｢あ、照くん。もう治ったみたいだね｣
前と同じその優しい笑顔に、俺は安心して笑顔で礼をした。
｢照〜、怪我してたんやろ！舘から聞いたで！｣
そう宮舘先輩に肩を組みながら明るく聞くのは、これまた優しい重岡先輩。
いつものニコニコの笑顔を向け俺に話しかけてくる。
｢はい、でももう大丈夫です！練習頑張ります！｣
｢お前、ええ子やなぁ！｣
言い放った先輩は俺の頭をくしゃくしゃと撫でる。
なんだか飼い犬にでもなった気分だ。
乱れた髪を直しながら、ありがとうございます、と軽く返事をする。
そしてそのまま練習が始まった。
1年の最初だからか、今は基礎を中心にやっている。
俺と樹は余裕でついていけてるが、初心者であるはずの慎太郎もすぐにコツを掴み先輩に褒められていた。
ダンス部に馴染むのもそう時間はかからなかった。
次の日。クラスではテスト返しが行われた。
よりによって1時間目は化学。
阿部から順にテストが返される。
満足そうにしているその顔から、その点数が簡単に読み取れる。
点数を隠して先生の手から答案を受け取った俺は、こっそりと自分の席でテストを確認する。
｢……｣
黙ったままその紙を半分に折り、何事も無かったかのように机の端に避けた。
でも阿部は即座に後ろを向いて俺に話しかける。
｢照どうだった？｣
勝手に覗かないところが阿部らしいなとも思うが、その点数は口に出すのも嫌なほどだった。
俺は黙ったまま首を横に振る。
そんな様子で察したのか、阿部は楽しそうに笑う。
テスト返しでそんなに笑ってられるのコイツだけだろ……
｢見ていい？｣
｢いいけど｣
俺は不貞腐れてそっぽを向きながら言う。
阿部は静かに俺の答案を覗いて口をおの字にしながら目を丸くする。
｢なんだよ、化学苦手なんだよ｣
｢そんなに出来ないなら言ってくれれば教えたのに！｣
そう言うってことは俺の点数が想像以上に悪かったんだろうな。
阿部にとったらそりゃ低いか。
……20点。
｢いや阿部ジェシーに教えてたじゃん｣
｢いくらでも時間はあるよ！それに人に教えると自分の勉強にもなるからね｣
｢でもお前、バイトは？｣
｢テスト期間中は入れてない｣
そう言って俺の腕を掴む。
｢ね？今度から教えてあげる｣
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桜井サラ(プロフ) - ゆのんさん» コメントありがとうございます！励みになります…更新頑張ります！！ (2020年5月12日 8時) (
レス) id: aa947d258f (このIDを非表示/違反報告)
ゆのん - 凄く面白いです。更新楽しみにしています。 (2020年5月12日 3時) (レス) id: fc4b9231a5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：桜井サラ | 作成日時：2020年4月25日 8時
