14 ｰiwｻｲﾄﾞｰ ページ14
そして球技大会当日。
朝から女子は髪型をオソロにしたり写真を撮ったりと忙しそうにしていたが、俺達はいつも通りの雑談をしながらその時を待つ。
体操服を来た阿部は前にも1度だけ見たことがあるが、細くて女子みたいな印象だ。
俺は体操服の長袖を肘の辺りまで捲りながら横にいた阿部を盗み見る。
相変わらずの細さだったが、萌え袖気味な今日は一段と周りの目が優しい気がした。
何しろ体操服なら男女の区別はない。
横の髪を耳にかける仕草をすると、隣に女子がいるような不思議な感覚が俺を襲った。
開会式を終え、その場に残りジェシーが出る予定のサッカーが始まるのを待った。
体育館ではバレーもやっていたが、そちらには知り合いは誰も出ていなかった。
｢ジェシー！！｣
慎太郎が大きな声で叫ぶとグラウンドの真ん中辺りからジェシーが手を振る。
俺らも手を振り返した。
その近くに同じくらい背の高い見覚えのあるやつもいて、そいつもこちらに気付いて手を振った。
阿部はそいつに手を振り返す。
｢あれ、友達？｣
何も知らない北斗が聞くから、思わず俺が代わりに答えてしまう。
｢あれ阿部の弟だよ。こいつ双子なの｣
｢えぇー！！まじで！｣
北斗に返事したはずが慎太郎がうるさくはしゃぎ出す。
目の端に恥ずかしそうにはにかむ阿部が見えて、不意にも少しドキッとしてしまった。
あー、ほんと女子みてぇ。
そんなことを思ってもう一度阿部を見ると、目が合ってしまって慌てて逸らす。
気まずくて話題を探そうとした時、ちょうど試合開始の合図が鳴った。
ジェシーのプレイはさすがサッカー部と言えるほど、素人目で見ても上手かった。
3人くらい1人で抜いて、味方にパスを出す。
その3人のうち1人は樹だった。
あからさまに試合を放棄するあいつを見て俺はぷっと吹き出す。
｢どしたの？｣
｢いや、友達がジェシーに抜かれてた笑｣
｢そうなんだ笑｣
阿部はそれだけ聞いてまた試合に夢中になった。
｢ジェシーの方応援してんの？蓮の方応援してんの？｣
｢え？んー、どっちも頑張ってくれたらいいなって……｣
｢なんだそれ。意味わかんねー笑｣
俺がそう言うと、阿部は眉を八の字にして困ったように笑う。
だって普通球技大会って勝ち負け気にするくね？
阿部の考え方はなんか、独特だなぁなんて思った。
結果、その試合は3組4組合同のうちのチームが勝った。
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桜井サラ(プロフ) - ゆのんさん» コメントありがとうございます！励みになります…更新頑張ります！！ (2020年5月12日 8時) (
レス) id: aa947d258f (このIDを非表示/違反報告)
ゆのん - 凄く面白いです。更新楽しみにしています。 (2020年5月12日 3時) (レス) id: fc4b9231a5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：桜井サラ | 作成日時：2020年4月25日 8時
