36 ｰabｻｲﾄﾞｰ ページ36
｢大丈夫……？え、亮平？亮平！｣
開けっ放しの個室の後ろから蓮の声がして、優しく背中を摩ってくれる。
息が苦しい中、その安心感に吐き気も治まり呼吸も安定してきた。
それでも俺は半強制的に保健室へ連れていかれ、予鈴を聞いて蓮が出ていけば�眞論萓犬�2人きり。
｢吐き気はもう大丈夫？｣
｢……はい｣
聞かれるとその原因を思い出してまた暗くなる。
少し頭が痛いかも。
頭の中で照に対するいけない感情が入り乱れて渦を巻く。
｢とりあえずここに寝ときな、親御さんに連絡した方がいい？｣
｢いえ、しないでください……｣
俺がそう言えばそう？と不思議そうに、それにあざとく首を傾げ俺の元へ戻ってくる。
｢休まないと良くならないよ｣
また俺は無理やり保健室のベッドへ寝かされ、寝られないとは思っていたけどいつの間にか記憶がなかった。
｢帰るよ｣
そう俺に声をかけたのは蓮。
俺は夢の中から起き出して目を開く。
蓮は俺の荷物を持ってそこに立っていた。
｢ごめん、俺寝てた……もう授業終わり？｣
言いながら奥に見える時計に目をやる。
針は15時半を指していた。
｢うん、大丈夫？帰ろっか｣
寝起きで重い体を起こして蓮から荷物を受け取る。
しばらく駅までの道を歩けば、体調は回復しいつも通りの足運びで改札を抜ける。
｢まだ、相談する気にはなれない？｣
駅のホームに立った蓮が横でそう言った。
ごめん蓮、いくら信用しててもこれだけは言えないや。
何も言えない自分に、何も言わず流れるこの空気に苦しくなって下を向く。
ごめん、蓮。
このことは墓場まで持っていくつもりだよ。
照の行動ひとつで胸が締め付けられてしまうこと。
触れると恥ずかしくて離れたくなってしまうこと。
目が合うと逸らしてしまうこと。
こんなやつに、こんなこと思われてるのは照にも悪いしね。
でも、いつまで経っても避けるわけにはいかない。
頑張らなきゃ。
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桜井サラ(プロフ) - ゆのんさん» コメントありがとうございます！励みになります…更新頑張ります！！ (2020年5月12日 8時) (
レス) id: aa947d258f (このIDを非表示/違反報告)
ゆのん - 凄く面白いです。更新楽しみにしています。 (2020年5月12日 3時) (レス) id: fc4b9231a5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：桜井サラ | 作成日時：2020年4月25日 8時
