29 ｰiwｻｲﾄﾞｰ ページ29
俺はこの感覚を知っている。
だからこそ怖いんだ。
出番を終えたジェシーと阿部が一緒に戻ってくる。
ほら、2人が隣にいるだけで……
自分の中で肥大化した感情を抑え笑顔で2人を迎える。
｢お疲れ！ジェシーやったな！｣
｢お疲れー！ジェシー！｣
俺とジェシーがハイタッチする前に慎太郎がジェシーに抱きつく。
それを見届けている間に、阿部は北斗の所にいて何か話しているようだった。
俺はそれも見ないふりをしてまた自分の席へ戻る。
流れるBGMを聞きながら次の競技をボーッと見つめていた。
その競技は借り物競争。
俺達の中では誰も出ていない。
そのうちみんなも自分それぞれの席へ戻ってくる。
もちろん阿部は隣。
｢照、ありがとね｣
｢ん？何が？｣
ザワつく自分に驚いた。
俺そんなに……
｢代わってくれて｣
｢あぁ……いいよ｣
いつもはもう少し続く会話も、俺が少し冷たくしてしまったからそこで終了。
またやってしまった、自分のせいで。
傷付いてないかなって阿部の横顔を見るけど、それに気付いた阿部が俺を見て目が合う。
そしてなんとなく逸らしてしまう。
ほら、またやった。いつか傷付けちゃうなこれ……
目のやり場に困り目の前の競技を見ていると、俺達に近付いてくる1人の影。
｢亮平、ちょっと来て｣
｢え、ちょっと！｣
阿部は腕を捕まれグラウンドへと引っ張られる。
阿部の双子の弟、蓮だ。
借り物競争出てたのか。
2人でゴールして、順位は3位。
阿部は何食わぬ顔で戻ってくる。
｢お題何だったの？｣
｢わかんない。教えてくれなかった｣
｢ふーん｣
1番気になっていたことを蓮は秘密にしたらしい。
まぁ兄弟だったら当てはまる項目も多いだろう。
そう納得して前を向き直ったのも束の間。
知らないうちに800mの招集が始まっていて、俺はみんなに一言声をかけ急いでその場所に向かった。
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桜井サラ(プロフ) - ゆのんさん» コメントありがとうございます！励みになります…更新頑張ります！！ (2020年5月12日 8時) (
レス) id: aa947d258f (このIDを非表示/違反報告)
ゆのん - 凄く面白いです。更新楽しみにしています。 (2020年5月12日 3時) (レス) id: fc4b9231a5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：桜井サラ | 作成日時：2020年4月25日 8時
