17 ｰiwｻｲﾄﾞｰ ページ17
意外と役に立ててなかった阿部と他の数人がベンチと入れ替わって後半戦が始まる。
負けてるからここらで巻き返さないと。
｢照〜、頑張れ〜！｣
ベンチから阿部の声援が聞こえ、ちらっと横を見る。
阿部は端の方から片手のグーを掲げ俺を見ていた。
この距離だったら有り得るか、とその応援に応えるべくいつもより遠くからシュートを放った。
ボールは綺麗に飛んでいく。
その代わり、重力に任せて俺の体は地面へ戻り。
変に高くジャンプしたから少し足を捻ってしまった。
それが地味に痛くて声を出しそうになったけど、周りにバレたくなかったし男らしくないから我慢。
ふと阿部を見ると、女子達や仲間と共に歓声を上げている。
見ていると不意に目が合ってしまった。
慌てて笑顔を作って阿部を茶化すと、その言葉を聞き阿部も焦ったように褒めてくれた。
俺は足元の痛みを誤魔化すようにいつもの笑顔でピースを向ける。
少し変な方向に着地しただけだから大丈夫か、とつま先を地面にトンと置いて足首を回す。
しかしやっぱり痛いものは痛く、そこからは上手く試合を進められなくて結局負けてしまった。
その敗北に少し責任を感じながらコートを出るとズキンと足首の痛みが強くなる。
これ本格的にやばいか……
歩くのも少し覚束無い。
阿部の姿を見回すが、人が多くて見当たらない。
とりあえずクラスメイトにはバレないように普通の顔をしてベンチの方へ向かった。
その時、後ろからトントンと肩が叩かれ振り向く。
いたのは顔も見たことない人。
｢はい？｣
｢君怪我してるよね。保健室行こう｣
俺はビックリして目を見開いてしまった。
誰にもバレないようにしてたのに、なぜわかったのだろうか。
俺はその人に警戒心を持って無意識に捻った方の足を庇う。
｢いや、大丈夫です｣
｢いいから。行くよ｣
少し無理やりに引っ張られて、引いていた足が前に出た拍子にその足で体重を支えてしまった。
｢いっ――！｣
声が出てしまったことに焦ってその人の顔を見る。
今ので確信に変わったのか、余計に心配された。
｢ほら、ね？行こう｣
何だかその人の空気に飲み込まれて、別に悪い人でもなさそうだからしょうがなくついて行く。
近くのクラスメイトに保健室に行くことを伝え、その人に支えられながら2人で保健室に向かった。
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桜井サラ(プロフ) - ゆのんさん» コメントありがとうございます！励みになります…更新頑張ります！！ (2020年5月12日 8時) (
レス) id: aa947d258f (このIDを非表示/違反報告)
ゆのん - 凄く面白いです。更新楽しみにしています。 (2020年5月12日 3時) (レス) id: fc4b9231a5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：桜井サラ | 作成日時：2020年4月25日 8時
