おにぎり系男女が宮城行く話

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「転校生の和歌月Aさんだ。諸事情により話せないらしいが、あまり深入りはしないように。じゃあ、仲良くするんだぞ」


先生からの紹介があって、私はぺこりと一礼した。クラスの視線が私に集まる。注目される経験とかないから、割と緊張するな。

今頃、棘くんも私と似たような緊張を味わってるだろう。


「和歌月は1番後ろの窓側な。偶数のクラスだったから、1人席になってしまうが……まあ、席替えを近々するか。国見の後ろな」


国見、と呼ばれた男子が軽く手を挙げた。随分と背が高い。バスケ部だろうか。こちらに無関心そうな瞳と一瞬目が合う。

私は言われた通りの席に座った。至る所から視線を感じたけど、狭い世界で生きてきた呪術師の私には、彼らに笑いかけれるようなコミュ力はない。親しくされても正直困る。陰キャのごとく下を向くことにした。


普段なら顔の半分が服に埋まる仕草なのだが、生憎と今はいつもの服ではない。首元が出ていて落ち着かない。今はこの学校の制服である。口元の呪印は市販の紙マスクで隠した。




(この感覚。久しぶりだな……)


居心地の悪さ。肩身の狭さ。



久しぶりに自分が“普通では無い人間”なのだと自覚した。五条先生の言うように“イカれた側”の人間なのだと、こんな平穏極まりない、悪意も何も無い、ただ普通の教室で、不意にそう思った。


(早く帰りたいな)


本来、私がいるべき場所に。

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