No.52 VSステイン ページ2
相澤Side
夜明が床に落としていった本を拾い上げ、夜明が起こした事件の記事のページの間に詩織を挟んでディスクの上の棚に並べ直す。
相澤｢弟さえも興味無いのかよ...｣
そうボソリと呟き、ボリボリと頭を掻く。正直、夜明の考えることは良く分からない。何故火事を起こす際弟は別室に移したのか、どうして親を殺したのか、そして先程話していたお隣さんのことも、一切自分のことは話さない。たとえ、警察官が相手だったとしても。
すると、その呟きを拾ったオールマイトさんは俺に向かって言う。
オールマイト｢しょうがないよ。夜明くんはまだ咲かない枯れた花と同じだ。今まで水を与えられなかった分、夜明くんからしたら敵側の私達が水をやって花を咲かせなければならない。それに、夜明くんにとって弟の岬くんはとても憎い存在だった筈だしね。誰にも自分のことを話したくないのも、私達と深く関係を持つのも全部自分の為なんだよ｣
相澤｢自分の為...｣
オールマイト｢そう、自分の為。私達ヒーローと関わってしまうと、何時もと違う濃い肥料が与えられ、養分を吸収し過ぎて段々元気が無くなり、最期には枯れ果ててしまう｣
相澤｢...つまり、貴方はその枯れかけた蕾の成長をゆっくりと見守っておきたい訳ですか｣
全く、酷い人だと思う。
｢夜明くんが一度道を踏み外してしまったからって、放っておくことは出来ない。けれど、アイツに改心して良い人になろうと言う志なんて微塵も無い。だから、私達は、助言などをして夜明くんを支えてあげるだけで十分｣...そう言って、夜明を見捨てている様なものなのだ。
相澤｢意外と、酷いこと言うんですね｣
オールマイト｢それはどうかな。...たまには、夜明くんに期待してみるのも良いことかもしれないよ｣
そう言い立ち上がりぐーっと背伸びをするオールマイト。そして職員室を出て行き、遂に俺は職員室で一人っきりになってしまった。
ふぅっと息を吐き机の上で自分の腕に顔を埋める。そして呟いた。
相澤｢やっぱり、敵少年の気持ちは良く分からないな｣
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作者名：綾瀬凛利 x他1人 | 作成日時：2020年7月11日 11時
