転生したら神様になった件【gnsn】 (ページ9)

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深夜。何時間が過ぎたかは分からないが、香菱は行秋という少年を連れて戻ってきた。途中ヒルチャールの群れに襲われたのか神の目を使用したのが分かるように赤く光っており、身体のあちらこちらに傷が何ヶ所か出来ていた。

行秋という少年は酷く衰弱していた。璃月港から望舒旅館に着くまでの道程は長く、彼が発作を途中で起こしたり、酷く咳き込む物だから香菱はその度に止まった。彼は大丈夫だとか細い声を発すも、香菱はただただ背中を摩るしか手立てはなかった。

「 A！！行秋連れてきた！！！」

『 …出来れば意識の無い状態が好ましかったけど、いいや。』

「行秋にもアタシから言わないように口止めしといたから！」

「君が、僕を…？」

『取り敢えずキミは横たわって。…悪いようにはしない。』

香菱は椅子を並べて少年を横たわらせると疲れたと言わんばかりにその場に崩れ落ちる。無理も無い。ここまでの道のりで幾つかの難所に立ち会ったのだと思うと、少年を助けたい気持ちは異常なまでもあった。

私は願う。香菱が助けようとしたこの少年の黒夢病が治るようにと。

瞬間、少年の身体から黒夢病の花に纏うオーラが浄化されるように消えていく。体力の消耗はそこまで激しく無いものの、終わった後の脱力感は激しく、香菱と同じようにその場に座り込んでしまった。

「治っ…た？ねえ、行秋…！」

「 …… 」

『疲れてそのまま寝てるみたい。死んではないよ』

「よか…っだあ…！！！ありがとう、ありがとう…！！」

『取り敢えず外じゃ危ないから行秋をベッドに連れていこう。私達もそこで一晩過ごすよ』

「うん…！！」

二人で少年をベッドまで運び、私達もその寝台の近くで暖を取るようにして眠りについた。

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『 …ん、いいにおいがする、』

朝起きたら二人が部屋から居なくなっているのに気付いた。厨房へと足を運ぶと元気そうに話をしている二人が目に入った。香菱は料理を作っているのか、少年は厨房の椅子に座って香菱と楽しそうに話している。

二人は私の足音に気が付いたのか此方を向けば、香菱は今までで1番の笑顔を向けてこう言った。

「 Aおはよー！！！！！！！！！！！」

『おはよう、香菱。そして少年。』

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