私達は双子で私は苦労人。【すとぷり】

久しぶりに会った人を一瞬で分かったんだから誰か褒めてよね。 ページ3

貴方side

「A……？」

私を呼ぶ声がした。
懐かしい声だ。

「Aだよな…？」

目の前には

「久しぶり……」

実に5、6年ぶりの再会を果たした

「元気にしてた？」

元彼がいた。

『な……んで…』

身体は一回り大きくなっていて声もあの時より低くなっている。

『なんで…なんであんたが……』

「あんたって…元彼に失礼だろw」

顔もあの時より男らしくなっちゃってさ。

「どうよ、5、6年ぶりに再会した元彼にあった気分は…」

にししっと笑い声が聞こえる。

『結構、最低最悪な気分だよ…』

彼を睨みつけるように言う。

『村山 拓也(ﾑﾗﾔﾏ ﾀｸﾔ)』

できれば会いたくなかった。
いや、会いたくなかった。

「フルネームってwww
しっかし、お前は身長も顔も変わんねーな」

ウザイ。
こいつ、めちゃくちゃウザイぞ。
手を私の頭に乗せる村山。

『ウザイ』

「会って早々毒吐くなよ！！」

『うるさい』

懐かしい。
何もかもが、懐かしい。

「雫は？」

嗚呼、嫌だ。
雫の話は嫌だ。

『男と一緒に回ってる…』

「彼氏か！？」

『シェアハウスの人』

「お前シェアハウスにいんの！？」と驚いている村山を置いて歩きだそうとした。
が、止められた。

『なんで、止めんだよ、村山』

「いやいやいや、久しぶりに会ったんだから話でもしよーぜ？
てかさ…昔みたいに読んでくれねーの…？
拓也ってさ……」

頬をピンクに染め、そっぽを向きながらボソボソと言う村山。

『んだよ、お前、少女漫画の主人公かよ』

「雰囲気台無しだろ…」

はぁ、とため息が聞こえる。
が、無視無視。

『お前、彼女つくったの？』

「いーや、いい女はみんな彼氏持ちさ」

『…どんまい』

「なんの励ましだよ！うるせぇな！！」

『ここ、公共の場だから。
静かにしろよ』

「お前のせいだろ！？」とか騒いでる村山は昔と全然変わらない。
変わってない。

『じゃーね。
私、待たせてる人がいるから』

「それって…」と、声を漏らす村山。

『は？何』

「それって男？」

『……さぁ、どうだかね』

村山に背を向けて歩き出す。
正直いってもう、関わりたくない。
昔のあいつとの記憶は全て消去したいから。
ふと、そんなことを考えていたら腕を力強く引かれた。
腕をひかれるまま、振り向いた。
嗚呼、振り向かなければよかった。
そんな後悔、今更遅かった。

『…っ！！』

唇に柔らかい感触が。
嗚呼、やっぱりこいつは苦手だ。

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