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「あっ!?」
中也様に腕を引かれ、私の体は吸い込まれるように倒れた。そして、後頭部に手を添えられ、私の唇が、中也様の唇に触れた。
数秒、戸惑ったが私は上司を押し退けらる訳もなく、舌を入れられまいと、硬く口を結んだ。
「ンだよ……連れねえな。」
「何故、こんな事をするのですか?」
何故?何故ってなお前………
くっくっと彼は喉を鳴らした。ニヒルな笑みを浮かべて私を見下ろす彼は、獣のような瞳をしている。
ゆっくりと私の耳元に口を寄せて、呟く。
「なあA、俺が好きでもない女にこんな事すると思うか?」
「………あ…私…」
顔が途轍も無く熱くなって、言葉が上手く言えない………何故、何故こんな素晴らしい人たちが、私のことを気にかけてくれるのだろう……ああ、さっきまで私は森さんにときめきを感じていたのに、今は中也様にドキドキしているなんて、私は、もしかしたらとんでもない浮気性女なんじゃないかと疑う。
「ここではダメです………」
「じゃあホテルなら良いのか?」
「そういう意味では……」
「俺は駄目か?」
「私には森先生が………いえ、首領に忠誠を誓っております………」
堪らず私は目をそらすが、中也様は私の反応を面白いと言った風に笑った。
「嘘だな、今お前には、首領と俺が男に見えてるはずだ………だから考えるだけでも、心臓が張り裂けそうに痛くなる………そうだろ?」
図星だ。恥ずかしくなって俯く。私の方が7つも年上なのに何故こんなに………彼は私よりもずっと上手だ。
「お……俺も…同じだから…」
意外にも、中也様から聞こえてきたのは、弱々しい、震えた声だった。ハッとして胸元を見下ろすと顔を真っ赤にした中也様………
ああ、彼も緊張していらっしゃったんだ………
「ふふふ………」
そう思うと、自然に笑みが溢れてしまった。
「ふふ、すみ…ませっ…つい…」
「うっせー!ちきしょ…カッコつけたかったのに………!!だって…Aのあんな顔見せられたら…………」
「私の顔がどうかしたんですか??」
プルプルと震えたのち、彼は大きく口を開いたか、ここがバーだという事を弁えて、また口を閉じた。そこから何回かパクパクさせて、
「恥ずっかしくなっちまったんだよぉぉぉ!!」
小声で叫んだ。矛盾しているが、まさにそれだ。
彼はやっぱり、彼で、一生懸命カッコつけてたと聞いて、可愛らしいなぁと思った。その後は、お礼をして、駅まで送ってもらい、別れた。
私にしては、有意義な夜を過ごせた気がする………
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だるま - 坂竹会長さん» 毎回ありがとうございます!ストーカーだなんて、全然気にしてませんし、むしろ助かっています。本当にありがとうございます、紙、があっています。お手数お掛けしました。 (2019年5月8日 20時) (レス) id: 64290f9481 (このIDを非表示/違反報告)
坂竹会長 - 14.ページ31、髪になっていますが、紙ではないのでしょうか?紙を破ろうとしているシーンです。後、なんか…そろそろしつこすぎなストーカー感が滲みでてますがすみません(笑)ちょうど2度見してて気づきました。 失礼しました・д#;; (2019年5月5日 15時) (レス) id: d6f7fc00e7 (このIDを非表示/違反報告)
黒だるま - 坂竹会長さん» ごめんなさい分かりません…ネットに疎いもので…こちらでも努力します。コメント蘭ですので、私への返信は結構です。 (2019年1月13日 22時) (レス) id: 82922559a0 (このIDを非表示/違反報告)
坂竹会長 - 外部コンテンツを表示というところでしょうか………??すみません!!本当にポンコツで……。機種の問題もあるのでしょうか…??((今3DSでコメうっているのですが…(((殴蹴すみません……!みれなかったらしょうがないので、、、すみません!! (2019年1月9日 6時) (レス) id: d6f7fc00e7 (このIDを非表示/違反報告)
黒だるま - 坂竹会長さん» 表示というところを押すと見れます。説明不足ですみません (2019年1月9日 1時) (レス) id: 2fc730875e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:黒だるま | 作成日時:2018年11月2日 12時