ポートマフィアのメイドさん

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「チョーカーのGPSはヨコハマ外れの廃墟のままだよ、それに奴等はまだ私達に金と脚をご所望だからね。中原君、これは命令だよ。」
「はい、首領。」
「敵組織を殲滅し、A君を奪還しろ。」
「はっ………」

不覚だった、西条は俺の部下だ。首領からの緊急連絡、と聞いた時焦って注意を怠ったのは俺だ。人当たりも良くて、信用できる部下だった。

俺が。
俺がAを危険な目に合わせている。

心臓が押し潰される様な気がした。歯を食いしばって耐えるが、人目が無ければ叫んでしまいたい。今すぐ助けに行かなければ、焦る気持ちと逆に、冷静にならなければという気持ちがせめぎ合っていて苦しい。

「中原さん、僕も行きます。」

芥川、黒蜥蜴のメンバーがエントランスに集まっていた。

「お前等は待ってろ、これは俺の責任だ。」
「僕はAさんに借りがあります。それをここで返したいと思うゆえ」

勝手にしろ、と伝え俺は車に乗り込んだ。

Aは、綺麗な女だ。気品があって、優しくて、可愛い。大人の女の良いところを集結させた様な奴で、俺の姉の様な……ポートマフィア自慢のメイド、だ。
ついでに言うと、色気もあるし、胸も男なら興味が無いわけないし、照れると可愛い。
そんな、戦う力を持たないAが、攫われた？もしも、危険な目に遭っていたら？
許せねぇ………

Aに手を出した奴は殺す。
いや、全員殺す。一人残らず、だ。

俺は自覚する。俺は、Aが一人の女性として好きだ。だから、Aの肌に他の男が触れるのも許せない。唇なんて持っての他だ。
ふつふつとどす黒い感情が沸くのがわかる。今なら太宰が居ないのに、汚濁を使えるかもしれない。

キキィっと音がしてい車が停止する。少し離れたところに停車したが、銃撃戦の音が聞こえる。
何故、発砲しているんだ。
Aが生きていることがわかり、少しだけ安心したが、何故。Aは戦えても、まあ、おかしくなはないが戦っているところなど見たことがない。
いや、そんな事を考えている場合ではない。早く助けてやらなければ。

迷いを断ち切り、部下に指示を出して、一斉に廃墟内に入った。
そこに広がって居たのはーーー

「待ちやがれこのクソ女！！」
「心外よ。」

暴言を吐きながら銃を乱射する男が一人。しかし、マシンガンに身体を撃ち抜かれまくって、目の前で死んだ。
ドシャっと崩れ落ち、鮮血を撒き散らす。

「くそッ、くそッ、くそッ！！」

残っているのは西条だ。一生懸命に撃っているが、まるで当たって居ない。

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