【刀剣乱舞】個性的な弟【短編集】

綺麗な弟　　　三日月宗近 ページ3

・




　私の弟は完璧だ。


　容姿端麗眉目秀麗質実剛健知勇兼備文武両道、兎に角私の真逆だ。


　両親に褒めてもらうため二年間頑張った事を、弟は直ぐに成功させた。



『正直、憎いよなぁ…』


「ねえAさん、今日一緒に帰らない？」


「ずる！私が一緒に帰るのよ」



『…好きにすれば？』



　私と帰りたいんじゃなくて、宗近と帰りたいだけでしょ。


　私の事に対して無関心になってくる年頃…なのに一緒に帰る事だけは止めない。



　…所詮踏み台だ。その中には凄い可愛かったり、綺麗だったりする人もいる。


　でも何故か、彼奴は彼女を作ろうとしない。



　帰っている途中も女子という名の肉食獣は甲高い声で媚を売る。


　宗近はいつも何か貰っている。大体ストラップとかだからカバンにつけてもいいと思うけど…


　そういや、小さい頃、弟が好き過ぎて『わたしいがいのこからもらったもの、つけないで！』とか言ってたな…恥ずかしい歴史だけど。





「A、具合悪いのか？」


『…え、は、何？あっち行きなよ、私より楽しいでしょ』


「…分かった」



　まあ、覚えてる訳ないか。きっと部屋にあるのだろう。


　私は女子からの嫉妬の視線に耐え切れなくなって、足早にその場を去った。



『私が居なくなっても、彼奴は気付かんだろ……あ』



　憎き弟の部屋が開いている。いつもは鍵が閉まっているのに。


　これは良いチャンスだ。彼奴の好きな子でも分かるかな…。


　そんな期待を込めながらドアを開ける。



『……？』



　そこには必要最低限の家具と、私があげた物だけが飾ってあった。


　…あの子達から貰った物は？



　押し入れを開けてみる。あの子達から貰った物もそうだけど、親から貰った物も見当たらない。


　私に期待しなくなった親は私をいない者扱いし、弟を甘やかして育てた。



『どこか、大切な物入れでもあるのか？』




　大切じゃなくても、捨ててないだけで少し嬉しい私はまだお姉ちゃんなのだろうか。

綺麗だった弟→←可愛かった弟

ラッキーアイテム

革ベルト

ラッキーカラー

あずきいろ

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す